デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


クラブ活動
 

ファミマ三陸産わかめ

ファミマ三陸産わかめ
三陸産わかめ ファミリーマート 100円(今まで一番よく描けた気がするが、それでもこのレベル!)

先日、電子工作イベント「Make: Tokyo Meeting 06」に出させていただいた。
このイベントには、様々な「すごい!」と興奮せざる得ない物たちが並ぶ。それはロボットだたり、電気を舌に流す謎の入れ物だったりとバラエティーに富んでいて、一日中眺めていても飽きることはない。

僕が卒業した大学も出品していた。
画面に雲と傘があって、それを動かして雲の下に傘が行くとパカっと開くものだったり、カセットテープがノイズを出していたりするものだったりと見ていて楽しい。僕には作れない素晴らしいものたちだ。だって、彼らが作った物の説明すら僕にはイマイチちゃんと出来ていないのだ。先の僕の説明では、彼らの作った物の何がすごいか全く分からないと思う。でも、本当にすごいのだ。

彼らのブースで話を聞くと、次はもっとカードを増やしてバリエーションを持たせようと思う、とかと作品の未来について語る。十分にすごいのにまだ改良を加えようとするのだ。

一方、僕が出品したものは、チャックを開くと光る「チャックの閉め忘れ防止マシーン」だった。彼らの前で、「僕も君達と同じ大学なんだ」とは言いにくかった。同じ大学なんだよな、と疑問にすら思った。なんだ、この差はと思うわけだ。学んだ時期が違うとは言え、違いすぎる。同じキャンパスの空気を吸っていたはずなのに。

もちろん僕はいいのだ。
好きで「チャックの閉め忘れ防止マシーン」を作っているし、それに何の不満も無い。これからもこういうのを作りたいと思う。こういうものだけを作って行きたい。しかし、父がこの差を見たら悲しむな、と思う。上京させ、高い学費を払い、息子を大学にやった。そんな息子が作ったのが、チャックを開けると光る! それも明々と、チャック全開で、なのだ。

とりあえず、父には僕ではない誰かの素晴らしい出品物の写真を撮って、「Make:っていうイベントに出ているよ」と写メしておいた。しばらくして、父から「恵亮はチャックのやつ出してるんだろう、記事読んだぞ、面白かった」というメールが届いた

らいいのにと思いながら家に帰った。

そして、「三陸産わかめ」を食べてそんな良い返信が来た気がした。
絶妙な塩加減のワカメが、御飯によくあい、ゴマの香ばしさが、さらに食欲を増進させてくれる。こんなおにぎりを僕が作れば、父も「すごいよ!」とメールをくれるだろう。ファミマが作ったものだけれど。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/11/24 21:00:00 )




△いちらんへ

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.