子供の頃、誕生日やクリスマスが近づくと、両親から「プレゼントは何が欲しい？」と聞かれた。とても幸せな質問だった。僕は「ポケットモンスター」などのゲームやおもちゃをねだった気がする。

大人になると、そんな幸せな質問はなくなり、両親からプレゼントをもらうことは無くなった。というか、誕生日やクリスマスにはもう誰からもプレゼントをもらわなかった。いつもと変わらぬ普通の日になったのだ。

ただ恋人が出来ると誕生日やクリスマスにプレゼントをもらう文化が戻ってくる。それらの日が近づくと、恋人から「プレゼントは何が欲しい？」と聞かれるのだ。あの幸せな質問だ。

いつだったか、そんな風に恋人に聞かれた。
僕は「お金かな…」と答えたが、それはちょっと、と彼女は言った。僕は悩み「お米を100キロくらい欲しい」と言ったが、彼女は冷静に置く場所あるの？　と切り替えした。確かにその通りで6畳の1ルームに100キロのお米を保管するのは難しいことだった。そして、彼女の機嫌はだんだんと悪くなった。

彼女にしてみれば、もっとカップルっぽいプレゼントをあげたかったのだと思う。
彼氏から彼女へのプレゼントの相場は大体において光物だろうし、その逆は名刺入れだったりネクタイだったりすると思う。彼女はそういうプレゼントがあげたかったのだと思う。「現金」や「お米」では、おばあちゃんからの贈り物みたいだ。

彼女と話し合った結果、靴を買ってもらうことになった。
「ナイキ」の靴で、少しはカップルっぽいプレゼントになっていると思う。もう一つ買ってくれるということで、「ポケットモンスター」をねだった。「靴」と「ポケモン」がプレゼントになったのだ。

「ポケモン」はカップルのプレゼントには似つかわしくないと思うが、「クリアしても中古屋には売らないよ」と僕は彼女への愛をみせた。

そして、「さけ」もそんな愛を感じる美味しさだ。
期待を裏切らないその味には安心感があり、付き合って5年目みたいな愛を感じる。値段も安価で嬉しい限りだ。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/11/23 21:00:00 )