いつだったか、お金が無くて、その時付き合っていた女性に思い切ってお金を借りようと考えた。彼女は年上だったし、キチンとした仕事をやっているしっかりした人だったので、少しくらいなら貸してくれるのではないかと思ったのだ。
雨がしとしとと降る夜に彼女に電話をした。 元気? とか、今日はどんな一日だった? とか多くのカップルが電話口でするであろう会話を交わし、緊張しながら「あのね、お金をね、ちょっとね、貸してね、もらえたりしないかな〜って」と切り出した。「、」と「ね」が多い発言だった。
先にも書いたように彼女は会社に勤め、白衣を着て仕事をする業種のしっかりとした女性だ。しかし、しっかりとしすぎていた。「嫌だよ」と彼女はキッパリと言った。その通りなのだ。人にお金を貸してはいけないのだ。それは大体に置いて返ってこない。僕も例外ではない。おそらく返って来ない。とてもしっかりとした女性だと改めて思った。
その後、2時間ほど、お金を貸してくださいと粘った。2時間も。しかし貸してはくれなかった。とてもしっかりとした女性だ。後日、その話を3人くらいにしたところ全員が「引くわ〜」と言っていた。彼女にお金を借りることは、よく考えると確かに引くことなのだ。
そして、「豚みそラー油」の美味しさにも引いた。 豚の濃厚な旨みをラー油が引き出し御飯と相まって最高のハーモニーを奏でている。曖昧なふわふわした味ではなく、とてもしっかりとした味がするのだ。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/11/19 11:00:00 )
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