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ローソン日高昆布

ローソン日高昆布
日高昆布 ローソン 105円(おにぎりの絵は今後上手くなるのだろうか)

イラストには、才能やセンスを必要とする。
デフォルメしたりなど、自分の見たままに描けばいいという訳ではないからだ。だから、才能やセンスが無い人はおそらく一生下手なままだと思う。僕は残念ながら下手だ。

しかし、デッサンは違う。これは練習すれば誰でも上手くなるのだ。目の前にあるものを鉛筆、あるいは木炭で、そのまま描けばいいだけだからだ。多くの美術大学の試験科目にデッサンはあるが、3年もやればデッサンをやったことのない人の目から見れば、甲乙つけ難いまでに誰しも上手くなるのだ。それがデッサンだ。

ただ何事にも例外というものは存在する。デッサンもそうで、その例外が僕だ。
高校の3年間を通して、僕は週5でデッサンに励んだ。高校が終われば研究所といわれる、美大に通うための予備校みたいなものに足を運びデッサンをした。夏休みともなれば週7でデッサンである(研究所は僕以外女性しかいなくて何だか嬉しいというのもあったし、その研究所の月謝は何日通っても1万円だったから、とにかく通った)。

しかし、全く上手くならず僕は鉛筆のせいにした。
デッサンを始めた人が一番最初に手でするであろう三菱鉛筆の「uni」を、僕もここは例外なく使っていた。これがデッサンが上手くならない原因だと思い「uni」よりも高価な「ステッドラー」の鉛筆にした。デッサンが上手い人たちの多くは「ステッドラー」と使っている気がしたのだ。

当然のことながら「ステッドラー」でも上手いデッサンはできずに、さらに高級な「ファーバーカステル」の鉛筆に手を出した。結果は薄々分かっていた通りデッサンは下手なままだった。単なる下手から高級な下手になっただけだ。そして、僕よりも後に研究所に通いだした女の子に、光のスピードでデッサンの上手さを追い越された。彼女は「uni」を使っていた。

そこで気がついたのだ。
僕は男だからデッサンが下手なのだと。僕の通っていた研究所は僕以外女性だったし、きっとそうなのだと結論付けたのだ。しかし、それだと手の打ちようがない。どう頑張っても僕は女性になれない。

そして、悩んだ末に悟った。僕は僕でいいのだ。下手だっていいじゃないか、それが個性ではないか! と。あの日の空は青くどこまでも高かった。

そして、ローソンの「日高昆布」のおにぎりにも、上記のように悟った僕のような力強さを感じる。105円とコンビニおにぎりとしては最安値の部類だと思うが、どのおにぎりにも負けない力強さを感じる。クセになる昆布の味の深みはあの日の青空を思わせる。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/11/18 11:00:00 )




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