29日目(7/2)
前回、いまにもの剪定をして、適当に土に挿しておいたツルの切れはし。 数日で干からびるものと思っていたが、今日見てみると、しおれることもなく、なんとロープに絡み始めているのだった。
おそろしい生命力。編集部一同騒然となった。そして恐くなった。このままではまずいのではないか。対抗策をとらねばならないのではないか。そんなことを話していると、「青虫を投入してはどうか」という意見が出た。
おい、ちょっと待て。それはサンシャイン牧場のやり過ぎではないだろうか。かのゲームに、人の畑に虫を入れるコマンドがあるという話なのだ。僕は「それはサンシャイン牧場のやり過ぎではないですか」と言いかけて、やめた。なにぶん僕はサンシャイン牧場をやったことがないので、間違っているかもしれないからだ。twitterでチラ聞きした程度の知識なのだ。そしてやめたのにはもうひとつ理由があって、「青虫を投入してはどうか」と言いだしたのは、これまたサンシャイン牧場をやったことがなさそうな工藤さんだったのだ。本当だったところで話が通じないかもしれない。ポカーンとするだけかもしれない。ポカーンと開いたその口に虫を入れたくなるくらいのポカーンぶりかもしれない。忙しい仕事のあいま、せっかくのたのしいおしゃべりの時間である。そんなことになってしまっては取り返しがつかない。かくして、「それはサンシャイン牧場のやり過ぎではないですか」のひとことは口に出すのをやめた。そっと胸に秘めておいた。
「それはサンシャイン牧場のやり過ぎではないですか」
いまここに書くことができて、すっとしたような、安心したような、いずれにしろとても穏やかな気持ちである。 ( 2010/07/03 18:50:00 )
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