19日目(6/23)
今日は午前中いっぱい外で買い出ししたり撮影をしたりしていて、昼休みに出社した。出社するとまず植物のチェックをするのが最近の日課だ。することは毎日同じ。ぐんぐん伸びていくいまにもを見て「スゲー」と口を開け、全然生えてこない友の樹を見てがっかり…しなかった。今日は。土から突如として顔を出した5枚の葉。これは…。
A「友の樹の芽がついに出た」 B「しかし急すぎないか?」 A「いまにものときだって、突然だったじゃないか」 B「でも、種のサイズと比べて葉っぱがでかすぎないか?」 A「土の中で育っていたんだろう」 B「そもそも、マメ科の葉っぱの形じゃないのではないか?」 A「どんな葉っぱだったか、実物見てないからわからないじゃないか」 B「そういえば種を採ってきた安藤さんなら葉っぱも見てるのでは」 A、B『安藤さんに見てもらおう!』
上記の登場人物AとB、ぜんぶ自分である。俺の頭のスーパーコンピューターが世界第二位のスピードで(ここ政治風刺)自問自答を繰り広げ、得られたアンサーは「安藤さんにきけ」。
急いで席に戻って安藤さんに声をかける。「安藤さん!友の樹、知ってます!?」。
「知ってますよ。」
そう答える安藤さんの、ニュートラルなテンションときたらなかった。数日前、出張先でタクシー乗った場合の精算方法を知ってるかときいたときに返ってきた「知ってますよ」と全くおなじ「知ってますよ」だった。
あまりのギャップにポカーンとしてしまった。自分の興奮、そして安藤さんも同じくらい興奮するだろう、という想定とのギャップだ。感動の共有できなさ具合に孤独感すら感じた。頭の中に浮かんだのは、荒野にひとり立ちつくす俺のビジュアル。すると安藤さんはこう続けた。
「うちのガジュマルの木が伸びてたんで、切って植えたんですよ」
プシャー!!頭の中の荒野に急に温泉が噴き出した。冷静さを欠いた連想の理由はわからないが、要は「想像を絶することが起きた!」という衝撃を表していたのはないか。 しかし「なるほど、そういうことか」という納得の気持ちがなかったわけではない。やっぱりあの葉っぱは不自然すぎたのだ。
「もうあの豆どうせ生えないじゃないですか、あれ友の樹ってことにしましょうよ。もし生えてきたらガジュマル抜きゃいいんですよ、ガッハッハ!」
ガッハッハ、はさすがに脚色だが、それくらいの豪傑ぶりを感じさせる発言だ。せっかく浜松で取ってきたのにとか、あの豆を育てる企画じゃん、とかそういうの一切気にしない。「器がでかい」。そう思いながら、頭の中に浮かんでいたのはでかいザルのビジュアルであった。
まあ、そもそもあの豆だって安藤さんが拾ってきたやつだ。その安藤さんが言うことだから、この際飲んでみたいと思う。(思う思わないにかかわらず、ガジュマルはもう植わってしまっているわけだし、このまま続けても先はなさそうだし…)。 当面は、あのガジュマルを暫定友の樹として育てていくことにしたい。
あとできいた橋田さんのコメント。「安藤さんやっぱり違うねー、野生だねー。」 ( 2010/06/24 23:25:00 )
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