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東京タワーと股割り

東京タワーと股割り
春は本当にやって来るのだろうかと疑問に思うくらい寒い

いつだったか知人の女性と東京タワーに昇った。日差しは暖かかったけれど、風は冷たいある冬の日のことだった。当日の朝になって急にどこかに出かけようと言うことになってなんとなく東京タワーに行くことになったのだ。

僕はその日ひどい二日酔いだった。前日にお酒を深く飲んでいて頭は痛く、吐き気を伴っていた。東京タワーに向かう電車の中でガタンゴトンの揺れが僕の吐き気をさらに加速させていた。胃の内容物が揺れているのが分かるのだ。

着いた東京タワーは多くの人でにぎわっていた。チケットを買って並んだ展望台に昇るエスカレーターは巨大な蛇のような列をなしていて、もし僕がここで吐いたら大変な騒ぎになるだろうなぁなどと考えていた。僕は彼女に「この後どこかで休もうか?」と提案した。二日酔いでしんどかったのだ。彼女は「え?」と聞き返した。

展望台から見る東京は綺麗で、彼女は遠くに見えるお台場の観覧車を指差し「乗ったことはある?」と言った。そう言った彼女の横顔はたとえようがないほどに美しかった。しかし僕と言えば、ここから外に吐いたら僕の吐しゃ物が東京に降り注ぐなぁなどと考えていたから、彼女の質問を無視して「思い切って寝てみようか?」と提案した。一旦横になりたかったのだ。彼女は「はい?」とまた聞き返した。

彼女がトイレに行っている間に考えたのだけれど、僕の提案はどれも本能に忠実な大人の行為に誘っているみたいだということに気が付いた。「どこかで休もう」「寝よう」など。晴れた日曜日のまだ午前中である。不味いことを言ってしまった気がしたけれど僕の考えすぎだろうと思うことにした。しかし、その日以来彼女とは一度も会っていない。

そんなことを先日同じように二日酔いをした時に思い出したのだけれど、股割りは毎日忘れることなく「割るんだ」という信念のもと活動を続けている。だから、今日こそ割るぞと意気込み、本日も股割りに励んだ。 ( 2010/02/17 21:00:00 )




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