僕はメガネをしている。目が悪いのだ。メガネ生活も長く、僕が人生で見てきたものの半分以上はメガネのレンズ越しに見てきたものだ。メガネはすでに僕の体の一部となっていて、メガネをつけた状態で「メガネどこやったけ？」と探してしまったこともある。自然すぎてメガネをつけている感覚が無いのだ。

とは言うものの、お風呂に入るときなどはメガネをはずす。その時に鏡に映った自分の顔を見て崩れ落ちそうになる。自分の顔なのだけれどおそろしく物足りないのだ。メガネがないともはや「僕」ではないの感じなのだ。誰かと待ち合わせをして、もし僕がメガネをはずしていけば、その人は僕のことに気が付かないだろう。もっとも、僕もメガネをしていないので、待ち合わせの人がどこにいるか分からないだろうけれど。

「コンタクトにしたら？」と言われたこともあるし、考えたこともある。しかし、僕はメガネであることにこだわりを持っている。僕が人生で唯一持っているこだわりかもしれない。メガネをつけていない僕は僕ではないのだ。もし、レーシックよりも簡単な、たとえば目が100％良くなる飲み薬があっても僕は飲まないだろう。伊達メガネではなく、本来の意味でのメガネをつけて僕は生きて行きたいのだ。それが僕のこだわりなのだ。

という話を、いつだったか女の子にした。彼女は「メガネの人が嫌いなのって私が言ったら、君はその薬を飲む？」と言った。僕は100メートル走のスタートのような瞬発力で「飲む」と答えた。あぁ〜と思う。僕の人生の唯一のこだわりがその程度なのかと。

さて、股割りだけれどこちらはこだわっている。割るんだ！　というこだわりだ。だから、寒さに負けず、本日も股割りに励んだ。 ( 2009/12/21 22:30:00 )