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意識と股割り

意識と股割り
とにかく割れてくれと願うばかり

いつだったか、春の日差しが温かい午後の公園で知人の女性と二人でお弁当を食べていた。目の前に広がる芝生の広場では、多くの家族連れが楽しそうに遊んでいた。

彼女が唐突に「下の名前の方がいい気がする」と言った。僕は「どういうこと?」と聞き返すと、彼女は「そのお弁当誰が作ったの? って聞いて」と言った。僕が言われた通りに聞くと「私が作ったの」と彼女は言う。言われなくても知っている。彼女がもう一度聞いて、と言うのでもう一度聞いたら「さっちゃんが作ったの」と言った。だから、知っている。

彼女が「ね、自分のことを下の名前で言った方がかわいいでしょ」と言う。そういう話か、と思いながら考え直すと、確かにかわいい気もした。彼女は普段自分のことを「私」と言っていたから、そのギャップもあったかもしれない。しかし、僕としてはどちらでもかまわないし、ムリに意識して下の名前で言う必要も無いだろうと思った。というか、意識して言われるとかわいく感じないなぁ〜と彼女に言うと、「確かに」と笑っていた。

この女性と会わなくなって数年、その話を男友達にしたら「お前、ベロベロに酔うと必ず自分のことを『ケイ君』って言うぞ」という驚愕の事実を知らされた。詳しく話を聞くと、僕は酔うと「それケイ君が食べる」とか「それケイ君の」とかと言うそうだ。別に甘えているとかではなく、単純に普段「俺」と言う部分が自然に「ケイ君」になっているのだそうだ。酔って僕の意識が行き届かないときの出来事で、全然記憶に無かった。

自分のことながら気持ちが悪いと思う。しかも、自然に言うという部分がさらに気持ち悪い。僕は自分のことを「ケイ君」と言う潜在的な能力を持っているわけだ。先に書いた女性とは逆で、意識しなければ僕は自分のことを下の名前で言ってしまうということなのだ。これは全然かわいくない。由々しき問題だ。

さて、股割りだけれど、こちらは180度開脚できるという潜在的な能力は無いようだ。だからムリに割ってやろうと、本日も股割りに励んだ。 ( 2009/12/16 21:00:00 )




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