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写真と股割り

写真と股割り
割れろ〜オレの股

クリスマスのイルミネーションが綺麗な新宿のサザンテラスをひとりで歩いた。青や白の電飾がロマンチックだった。カップルがその前で幸せ自分撮りをしていた。「幸せ自分撮り」とは、二人近寄って男性か女性がカメラを持って二人がフレーム内に写る撮影方法だ。

僕はこれを見て崩れ落ちそうになる。この写真はこの後どうなるのだろう。きっとSDカードからPCのハードディスクに保存するのだと思う。しかし、もし別れたらその後、その写真を削除しなければならない。間違いなくその行為は辛い。

サムネイルから二人で写った写真を探し出し、ゴミ箱に入れる。サムネイルの写真の彼女は屈託の無い天使のような笑顔で、自分もやはり笑っている。「あの時は楽しかった…」と思い出しながら削除するのだ。考えただけでも辛い。

と思ったが、僕は女性とツーショット写真を撮ったことが一度も無かった。余計な心配だ。

いや一度だけある。
24年の人生でたった一度だけ女性とツーショット写真を撮ったことが。数年前、当時好きだった女の子と金沢に遊びに行った。その時、21世紀美術館のマイケル・リンの作品の前で彼女とツーショット写真を撮ったのだ。彼女が近くにいた家族連れに声をかけてシャッターを押してもらった。東京に帰ってきて、彼女の家でその写真を一緒に見たら、彼女は眩しすぎる笑顔で、僕は照れながら笑っていた。そしてそのデータをもらって自分のPCのハードディスクに移したのだ。

数ヵ月後彼女からもう一生僕と会わないことが告げられた。そして、僕はゴールデンウィーク明けの最初の土曜日のまるで夏が来たのでないかという暑い午後にハードディスクからその写真を削除した。サムネイルから二人写った写真を探し出し、その時の幸せを思い出し、そう、泣きながら。

それを思い出し僕は、幸せ自分撮りをするカップルの前で、顔を両手で覆い腰から崩れ落ちた。ツーショット写真にいいことなんて何もない。僕は二度とツーショット写真を撮ることは無いと思う。いや、うそだ。誰かとツーショットが撮りたい。思い出し、泣きながら削除することになっても。

さて股割りだけれど、こちらも始めた当時の事をすこし思い出した。今月で股割り部はとりあえず終了なのだ。最初の写真と今の写真を見ると今の方が割れている。この調子だと、本日も股割りに励んだ。 ( 2009/11/28 21:00:00 )




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