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ギュッと股割り

ギュッと股割り
ギュ〜とスジを伸ばす

もうすぐやってくるクリスマスのことを考えながらひとり夜の駅で電車を待つ。考えるまでも無く家にひとりでいるんだろうな、とすぐに結論が出る。

向かいのホームに若いカップルが手をつなぎ電車の待っている。彼らがどんな週末を過ごしているか考える。朝の優しい光が入る彼女の部屋に2人はいる。彼女はベットでうとうとしていて、彼氏は台所の換気扇の下でタバコを吸っている。しばらくすると彼女が起きて来て、彼氏のタバコを取って1口か2口吸ってまた彼氏に返す。そして、彼氏はタバコを置き彼女をギュッと抱きしめる。その「ギュッ」は小さな子供を抱きかかえるような純粋な「ギュッ」だ。

そのカップルの横にはお互い20代半ばの社会人のカップルが立っている。両方ともよく仕事ができそうないでたちだ。でも、どちらかの部屋で二人きりになると女性は「ギュッとして」と男性に甘えるのだ。男性は黙ってギュッと彼女を抱きしめる。その「ギュッ」は雨に濡れた子犬を抱くような誠実な「ギュッ」だ。

そんな妄想をしていたがだんだん悲しくなって、僕は下を向く。するとスボンのチャックが全開だった。いつからあいていたのだろうと考え込むが、横道にそれて、さっきした2組のカップルの妄想は僕の夢であることに気が付いた。いつかかなえたいが当分かなわないだろうと燃え尽きたボクサーのようにうなだれる。

それに僕にはそんな純粋で誠実な「ギュッ」はできないだろうとも思う。もっと何と言うか、鼻の下が伸びるようなある意味自然な欲求にまみれた「ギュッ」になってしまうはずだ。しかしとにかく今は、チャックを閉めることが先決なことを思い出し、急いでチャックをあげた。

さて股割りだけれど、こちらもとにかく割れることが先決だ。痛いとかいっている場合ではない。でも痛い。我慢だと自分に言い聞かせギュ〜とスジを伸ばしつつ、本日も股割りに励んだ。 ( 2009/11/27 21:00:00 )




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