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隣人と股割り

隣人と股割り
痛さの先に180度開脚がある

数年前、僕は東京の壁の薄いアパートに住んでいた。隣の部屋の音がよく聞こえた。
東京だからなのか、隣人を一度も見たことがなかった。ただ毎日隣から聞こえてくる音で、隣人が男であることや、少し懐かしい90年代の音楽が好きなことなどを、強制的に知ることになった。

隣の部屋からテレビや音楽などが聞こえ、あまりにうるさい時は僕は壁をけった。すると静かになる。たまに、隣人は夜中に音楽に合わせて熱唱することもあった。でも、僕が壁をけると歌うのをやめまた静かになる。とにかく壁をけると静かになった。

その年のクリスマスイブ(日付的にはクリスマス)、僕は当時大学生で課題に追われ夜中にパソコンと睨めっこをしていた。隣の部屋は静かだった。クリスマスだし遊びに行っていたのだろう。
午前4時ごろ玄関が開く音がして隣人が帰ってきたのがわかった。そして、しばらくすると槇原敬之の「もう恋なんてしない」が結構大きめな音で流れ始めた。

うるさかったけれど、僕はその日、壁をけらなかった。僕にはそういう優しい面もあるのだ。

そんな優しい面が自分の股関節を守っているようで痛いとそこでやめてしまう。痛くても開かないとダメなのに。自分には厳しく行こうと思いつつ本日も股割りに励んだ。 ( 2009/10/20 21:00:00 )




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