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雨乞い部

新しい靴をおろす


 今日は「新しい靴をおろす」だ。新しい靴をおろすと雨が降る。これも言ってみればマーフィーの法則だ。せっかく新しい靴をおろしたのに、雨が降ってドロドロになってしまう。人生そんなものだ。


 小さいころ、新しい靴を家の中で履くのが好きだった。ふだん外でしか履けない靴を、このときだけは家の中で履けるのだ。そして、その靴を履いたまま外に出る瞬間がまたすばらしい。いつもは立ち止まって靴を履かなければいけない玄関を、そのまま走って素通りする。家の中と外がシームレスにつながっている、ああ、世界はつながっているんだ。そんななんだか希望に満ちた気分になるのだった。
 そんなとき、いきなりザーッと雨が振り出すというのはいいアイデアだと思う。ヤッターっておおはしゃぎで玄関から飛び出したら豪雨。身も蓋もないオチのようでもあるし、調子に乗るな、という戒めのようでもある。なんにしろ、人生の厳しさを子供に教えるいい機会となるだろう。自分に子供ができるまでには、雨乞い力を高めて準備しておきたい。


 さて、今日の雨乞いだ。週末に新しいサンダルを買ったのだが、雨乞いのために開けずにとっておいた。さっそく開封して履いてみる。
 うん。サイズ良好、履き心地もよし。この夏はきっと大活躍してくれることだろう。と、それだけ確認したはいいものの、よく考えたら通勤は革靴だ。しかたなくサンダルは靴箱に片付け、身支度をして革靴を履く。


 うーん、これでいいのだろうか。サンダルを履いたのはたぶん10秒ぐらいだ。そもそも「新しい靴」と言っているのにサンダルでいいのかどうか。サンダルでは雨が降ってもあんまり気にならないから、マーフィーの法則が成り立たないじゃないか。考え始めると不安は尽きない。しかし、これだけは言っておきたい。「雨乞いに正解はない」。どんな手を使おうが、どんなに根拠のない方法だろうが、雨さえ降ればそれは雨乞いなのだ。要は降ればいいんだ。そんなことを半ば自分に向かって言い聞かせつつ、電車に揺られて会社に向かった。


 全然関係ないが、さっき検索したところによると「夜、新しい靴を履いて出かけると、死ぬ」そうだ。気をつけよう。


オープン!ナイスフィット!


 
今日の結果 … 晴れ


 はい、降りませんでした。やっぱりサンダルとか長靴とかは雨乞いには不向きなのだろう。もっと革靴とか、せめてスニーカーとか、そういう濡らしたくない靴にすべきであった。そういう意味では、水に溶ける靴とか、水を吸ってふくらむ靴とかがあれば非常に雨乞い向きかもしれない。そういうのを履いて登山やハイキングとかに出かけるといいのだと思う。雨が降ったときの不幸が大きければ大きいほど、傍目に見ていて面白い。この雨乞いは、雨の神様のそんな心理を突いた心理作戦なのだから。
( 2007/05/25 02:00:00 )




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