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雨乞い部

てるてる坊主を泣かす


 今日は第1回目に続いて、てるてる坊主シリーズ第2弾、「てるてる坊主を泣かす」だ。てるてる坊主に顔を描くときに泣き顔にすると、雨が降るそうだ。降るそうだ、と言ってはみたが、検索エンジンで「てるてる坊主 涙」と検索してもまったくそんな記述は見当たらない。どうやらあまり一般的に言われている話ではないみたいだ。


 元はといえば、小さいころ母に聞いた話だったように思う。遠足の前日にてるてる坊主を作っていて、母に「涙を書くと雨が降るからだめだよ」と言われたような記憶があるのだ。あまり一般的ではないとはいえ、26年間の人生でずっと信じて生きてきた話だ。試してみる価値はあるだろう。


 てるてる坊主作りは2回目ということもあり、もう慣れたものだ。慣れた手つきで布を切り、慣れた手つきで頭に綿をつめて、慣れた手つきで首をくくる。この首をくくる作業は、何度やっても切ない気分になる。そして泣き顔を描き、糸を通してつるす。


 逆さにつるされても笑っていたあのてるてる坊主が、今度は泣いている。表情が違うだけで、なんだかものすごく悪いことをしている気分だ。つるすのに使った糸がねじれているのか、てるてる坊主は泣きながらずっと回転している。手で止めても離すとすぐ回りだすので、写真を撮るのに苦労した。小中学校のころ、泣くと両手をぶんぶん振り回して強くなる奴というのがクラスに一人くらいはいたものだが、今回は泣くとスピンする奴。強いんだかなんなんだかよくわからない。僕の雨乞いのせいで、彼をこんなところまで追い込んでしまった。悪いことしたなあ、と思いながらバルコニーを後にした。


泣き顔を描くなんとか静止させて撮った苦心の一枚



今日の結果 … 晴れ


 おかしいぞ。雨は降らなかった。もしやあの回転によって発生する遠心力が、大気流に影響を与えてしまったのか。そうに違いない。夜になって回収に行くと、大気を左右するほどの大仕事のあとで力尽きたのだろう、回転は止まっていた。
 それから回収した坊主を分解してゴミ箱に捨てたのだけれども、終始泣き顔のてるてる坊主に、最後まで罪悪感を拭い去れずにいた。
( 2007/05/23 02:00:00 )




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