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雨乞い部

猫が顔を洗う


 昨日は惜しいところで曇り空に終わってしまったのだが、今日は朝からいかにもな雲行き。今にも降りだしそうだ。これはチャンス!降り始める前に雨乞いを済ませてしまうんだ!空色を気にしつつ、今日の雨乞いの説明からはじめよう。


 「雨フラグ」という言葉をご存知だろうか。今思いついたばかりなのでご存知ではないと思うが、ちゃんと説明するので安心してほしい。
 こんなことがあると雨が降りますよ、といわれている現象がある。たとえば「蚊が低く飛ぶと雨が降る」といった具合だ。この、蚊が低く飛んでいる状態のことを「雨フラグが立っている」と呼ぶ。雨フラグが立っている状態では、雨が降る確率が非常に高いわけだ。「雨フラグ」。微妙な知り合いと二人きりになってしまい、話題もないので仕方なく天気の話をしている時なんかに使えそうな言葉だ。


 さて、この雨フラグを雨乞いに応用することはできないだろうか。雨フラグが立てば雨が降る。雨を降らせたければ、逆に雨フラグを自分で立ててしまえばいいのだ。そして今回とりあげる雨フラグはこれだ。「猫が顔を洗う」。


 猫が顔を洗うと雨が降るというのは、日本だけでなく世界中で言われていることらしい。猫が気圧の変化を感じているのだとか、湿度に反応しているのだとか、理由については諸説あるようだが、それなりの信憑性はあるのだろう。


 さっそく猫に顔を洗わせようとしたのだが、あいにくうちには猫がいない事に気づいた。仕方なく自分で顔を洗うことにした。


 なんだかこんな形でお茶を濁す羽目になってしまったことが猫に申し訳ない気がして、なるべく猫のことを考えながら、一心不乱に顔を洗った。まだ剃っていない無精ひげが手のひらをくすぐり、猫のざらざらした舌の感触を彷彿とさせる。午前8時、鉛色の空。重苦しい色のあの空の下で、今ごろいったい何匹の猫たちが顔を洗っていることだろうか。そして僕はこれからの人生で、あと何回こうやって曇り空の下で顔を洗い、そして空を仰いで雨を願うのだろうか。そんなことを考えていると、不意に背後で、ニャーという声が聞こえた気がした。僕はとっさに振り向くのだが、そこには猫の姿はなく、風に揺れる物干し竿がきしんで音を立ているだけだった。




今週中に雨が降らにゃ、今年の年貢米がぁ…ザブザブザブ



今日の結果 … 雨


 案の定、午前中から雨が降り出した。雨が降る直前に滑り込みで雨乞いをするなんて、「はたしてこれは雨乞いなのか」「ちょっとずるくない?」という疑問の声もあろう。だがひとこと言わせてもらおう。甘いよ。
 やったもん勝ちなんだよ。雨乞いは食うか食われるかの世界。時には汚い手も使わなければ、厳しい雨乞い界では生き残れないのだ。
( 2007/05/18 02:00:00 )




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