カツシカの秘境
JR金町線から降りて、バスで10分、さらに徒歩で10分。「水元公園」は溜め池のある、おおきな公園だった。
今回目的地は、インターネットで適当に調べて決めた。場所の雰囲気が全くわかってなかったので、ショックは大きかった。
「ここ………どこ?」
見渡すかぎり緑。地平線は木々。溜め池はやたらデカく、「これ、実は途中から海です」と言われても「そうですかー」と素直にこたえてしまいそうな広さだ。
普段見たことがない鳥も飛んでいた。
ピチュピチュ、ギョギョギョ、ギギギギ、何種類もの生き物の声が、混ざって聞こえてくる。
釣れるのか?
公園内には魚が釣れるスポットがたくさんあるようで、小雨の中、装備ばっちりの釣り人たちが、高そうな道具を持って座りこんでいた。
自分のしょぼい釣り道具が、ちょっと恥ずかしかった。
私の今回のターゲットは「手長エビ」だ。
ちいさな川エビで「釣るのがハゼと同じくらいカンタン、家族連れでも楽しめる」というエモノだ。
昨年買った「ハゼ用」の竿を流用した。これは釣り具屋さんの中でもいちばん安い竿だ。1000円もしない。
エビのための針や玉ウキ、おもりなどは、釣り具屋さんで買い足した。
一応、使う道具を調べていったのだけれど、不安なので
「あのうー、手長エビ釣りたいんですう」
と店員さんに相談した。丁寧に教えてくれた。エサも含め、しめて700円ほど。
川底が浅く、流れが急ではない、エビの釣れそうなポイントに座り、自信のないままに、竿のセッティングをする。
これで合ってるんだろうか………。
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