その頃熊は
作業は進むがここでひとつ、熊をエヴァンゲリヲンにするにあたって若干心が痛んだことは書き記しておきたい。
熊の木彫りって北海道の心ではないかと思うのだ。最初、さらに木彫りして手足を細くしようかとも思ったのだが、それでは熊を彫った人に申し訳がつかない。敬意を示す意味でカラーリングだけにしておいた(あと細くするのたぶん難しいから)。
そんな僕の苦悩をよそに、地主さんはずばずばと携帯電話を仕上げていく。さすが美大卒である。実に頼もしい。
勢いそのままに、地主さんには次のお題をお願いした。
生き物という点で携帯よりも難易度は低いだろう。やはり四肢がはっきりしている方が作りやすかろうと思ったのだ。
同じく地主さんから渡されたお題はこちら。
来た、無機物。
このメガネ、古くなったので買い替えたものらしいのだが、今でも少しハードな取材にはこちらを使っているのだとか。この人はどういう取材を普段しているのか。そして大丈夫なのか、そんな実用メガネをエヴァンゲリヲンにしてしまって。
メガネと平行して熊の方も色を重ねていく。エヴァンゲリヲンは腰の辺りに緑が入っているのでそれにならって塗り分けたつもりなのだが、熊のボディラインに合わせたら予想以上に緑のパートが多くなってしまった。
その頃、美大卒は恐竜セットを使って新しい生き物を生み出していた。
これが紫に塗るとなんとなくエヴァンゲリヲンに見えてくるから不思議である。細い手足、紫のボディ、恐ろしげなシェイプ。
エヴァンゲリヲンである。目が慣れただけかもしれないが。