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ロマンの木曜日
 
風吹き荒び、雨打ちつける、怒涛の高知県〜遍路日記まとめ〜

室戸岬より景観多様な足摺岬

さぁ、いよいよ遍路中最長の区間である足摺岬である。室戸岬の事を考えると、当然ながら一筋縄ではいかない気がするものだ……が、それは良い意味で裏切られた。

いや、大変だったのには違いないのだけれど、ずっと似たような荒々しい風景ばかりが続いた室戸岬に比べ、足摺岬への道は風景がコロコロと変わってくれるので、これが結構楽しいのだ。精神的に楽なのである。

とは言え、依然と雨風は強く、肉体的な疲労は著しい。楽しいけど、くたびれた、そんな道のりであった。


四国の棚田は石垣が多くてカッコイイよね
明治時代に造られた煉瓦のトンネルもあるし

広大な松原を歩く事もある
雨の松原というのも、風情があるものだ

またこの区間は、あの四万十川の河口付近を渡る事となる。四万十川と言えば、昨年の8月に河口から源流まで遡った、個人的に思い入れの強い川である(詳しくは、「「河口から源流へ、四万十川を遡る」をご覧下さい)。

四万十川の河口にある下田集落には、四万十川で唯一現存する渡し舟が存在する。四万十川を遡ったその時から、遍路に出た際には、必ずやこの渡し舟を使おうと思ったものだ。


というワケで、念願の下田の渡しを利用。費用は500円
天候が悪い中、半ば無理に船を出して頂きました

その後、江戸時代からの遍路拠点、眞念庵の古道を通り――
荒々しい地形を眺めながら――

風で波しぶきが吹き上げる砂浜を通り――
リポビタンDのCMに使われそうな岩場の遍路道を抜け――

凄まじい風に歯を食いしばりながら――
古い道しるべが残る遍路道をさらに行き――

ようやく……ようやくたどり着きました、足摺岬!
そして38番札所、金剛福寺に到着。本当に長かった!

これで室戸岬と足摺岬、両方の難所を踏破する事ができた。いずれも前の札所から80km程。これらだけでも160kmの距離である。いやぁ、長かった。

金剛福寺でお参りを済ませて納経をした際、お寺の方から「お疲れ様でした」と一言添えて頂いた時には、本当に感無量だった。その達成感は、これまでに無い程である。

足摺岬を極め、もはや終わったも同然と思っていた高知県。……しかし、この「修行の道場」は、最後の最後まで私に修行を強いたのだった。なんてこった。

 

月山神社と延光寺、そして「菩提の道場」へ

足摺岬先端の金剛福寺から先、遍路は以下に述べる二通りのルートから、どちらか一つを選んで進む事になる。

一つは、足摺岬の東岸を戻り、眞念庵から北西に向かって39番札所の延光寺へ行くルート。もう一つは、足摺岬の西側を進み、宿毛に出てから延光寺へ行くルート。前者の場合は、延光寺でお参りをした後に篠山神社へ参る必要があり、後者の場合は、延光寺に行く途中で月山神社に参る必要がある。

このうち、私は後者の西回ルートを選択した。だって、一度通った道を再び戻るよりは、まだ歩いた事の無い道を行った方が、楽しいじゃないか。そう思ったのだ。


足摺岬西岸の景色は、南国っぽい印象
土佐清水の町に出たら、雨が凄まじい事になってきた

なんか凄い竜串の地形。じっくり見たかったが、雨で断念
この時、あまりに早い四国地方の梅雨入りを知り、愕然とした

それでも何とか遍路道を歩き――
月山神社に到着

ちなみにこの月山神社、月型の石を御神体として本殿の裏手に祀っている。またこの月山神社の神主さんは、月守さんと言うのだから面白い。その歴史の深さを感じさせてくれる。


月山神社からは、古道を下ってタバコ畑を横切り――
国道321号線を歩いて宿毛の町に出て――

39番札所の延光寺に到着
再び宿毛の町に戻って――

峠の遍路道を行き――
いよいよ伊予、「菩提の道場」こと愛媛県へ突入だ

もうちょっとだけ、続くんじゃよ

この記事を執筆している6月10日現在、愛媛県の松山市、51番札所まで来ました。私の遍路も、そろそろ佳境に差し掛かってくる頃かと思います。

今後は札所密集区間が多くなり、また市街地ばかりになりそうなので、宿営地などに困りそうですね。高知県とはまた違った意味で、険しい道のりになるような気がします。あと、梅雨の雨は本当に困ります。くじけそうです。

しかしそれでも、愛媛県後半、香川県と、なんとか最後までやっていきたいと思います。もちろん、遍路が終わるまで遍路日記のリアルタイム更新も続けますので、なにとぞよろしくお願いいたします。

6月中には終わるよね……たぶん

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