なめこにかっこいいところを見せつけろ
今度は、なめこに僕のかっこいい決めポーズを見てもらおう。かっこいいポーズさえすれば、なめこからの好感度もぐっとアップするのではないだろうか。
皿の上にスーパーで買ってきたばかりの新鮮ななめこを盛り付け、公園の隅に置いた。そして、その前でかっこいいポーズを披露する。
ふだんはそれほどテンションが上がることはないのだが、体を動かしているうちにだんだんと、ノッてきた。
シャーマンきどり
渾身のポーズの数々を繰り返していると、妙な満足感が出てくる。神に捧げる祈りのようだ。シャーマンとはもともとこういう所から発生したのではないかと思えるほどだ。
かっこいいポーズを繰り返すことで人間のランクを偽ることができるのだ。
かっこいいポーズ作戦はきっと成功だ。なめこ界のプロフェッショナルに言わせればまだまだだろうが、個人的にはかなり好感度が上がったように思える。
かっこいいなめこ
愛とは何か。お互いが見つめ合うこと? いや、お互いが同じ方向を見つめ同じ景色を共有することではないか。その景色の先に愛は立ち上がるのである。
こんどはなめこを持った状態でかっこいいポーズを決めてみよう。
なめこはヌルヌルしてるので、すぐに皿から滑り落ちそうになる。音もなく皿の淵ギリギリまで寄っていることもあるので注意が必要だ。
その他にも、公園で遊んでいる子どもたちに「せーの、で聞いてみよう」『何やってるんですか?』と話しかけられるのをうまくかわすのも一仕事。見てわからんのか。かっこいいポーズだ。
因果地平の果てへ
その芸術性と引き換えに手に持った皿に意識が向かうので、かなりポーズの幅は制限される。しかし、その制限さえも新たな境地へと辿り着く鍵なのだ。
なめこがただのきのこだと思っていたかつての自分を恥じる。こうして手助けさえあれば、立派にかっこいいなめこになれるのである。なめこはどこへだって行ける。
武器がなめこしかない武術の大会があったら、かなり良い線行けそうな気がしてきた。そんな一体感だ。好感度もさぞかし上がったことのように思う。