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ひらめきの月曜日
 
世界の太鼓が集まる博物館


5mの巨大太鼓

これまでご紹介したのは常設展のほうで、もう半分では今ちょうど企画展をやっているのだ。そのテーマが、雅楽。言わずと知れた日本の伝統音楽である。

雅楽の展示の中でまず一見して目を引くのが、こちら。


ゆうに人よりでかい

堂々の全長5m!

…ってその割には小さいんだけど、これは天井の都合でとちゅうで分割しているのだ。フルサイズの状態を合成写真で再現してみると…。


堂々の全長5m!(再)

これは雅楽で使う「だ太鼓」(「だ」はこんな字→)。正面から見るとどこがどう太鼓なのかよくわからないが、横から見ると


確かに太鼓

締太鼓を巨大にしたような太鼓が入っていた。しかもこれは左右に対になっていて、


2つある。いちばん引いて撮ったけどでかくて入りきらない!

これが例によって、男性と女性を表しているのだ。(左方の龍は皇帝を、右方の鳳凰は后妃を象徴する)。

他にも左側のてっぺんについてる太陽が右側は月だったりと、だ太鼓はいろいろな概念を対にして備えている。舞楽には左方(中国系)/右方(朝鮮系)の概念があり、それに応じてどちらか片方を使うのだそうだ。

 

シルクロードから来た音楽

ちなみに雅楽のルーツはさかのぼるとシルクロードまで達するそうで(もっと先までたどれるんだけど行き着くところは諸説ある)、現地の太鼓と雅楽の太鼓を比べてみると、その共通点も見えてくる。


たとえばこちらは雅楽で使う三の鼓という太鼓。真ん中に輪っかみたいな構造がありますよね

次に、この写真の後ろの3つに注目。これは歌舞伎や能で使われる大皷(皮を張ってない状態)。同じような輪っかがあるのがわかります。


そこまでは同じ日本なので似てるのも当然ですが、おとなり韓国にも似たような形がありました。杖鼓

さらにスリランカにもこんなによく似た太鼓が。ウデッキ


という具合で、世界中に同じ特徴を持つ太鼓が存在する。それをたどっていくと、雅楽のルーツも見えてくるそうなのだ。

「雅楽はシルクロードを通ってきたんですよ」なんて言われてもピンと来ないところだが、世界の太鼓が集まる太鼓館なら、こんなふうに実物を見ながら実感することができる。いやもう本当にすばらしく楽しい取材でした!

 

5時間は楽しめる!

というわけで音楽好き、異文化好き、旅行好き…などなど、もう広く誰が言っても楽しめるのではないかという、すごく楽しい博物館でした。

ちなみにこの太鼓館、見るだけじゃなくて演奏もできます。それも1つや2つだけではなく、貴重なものや壊れやすいものをのぞいて、かなり太っ腹にたたかせてくれます。記事中に使った動画の中には「今回だけ特別…」ということで叩かせてもらったものもあるので、現地で確認してください。(シールでわかるようになってます)

宮城さんばっかり目立ったので俺の写真も載せる欄

 

世界の太皷資料館 太皷館

https://www.miyamoto-unosuke.co.jp/taikokan/

東京都台東区西浅草2丁目1番1号4階 〒111-0035
開館時間 : 午前10時〜午後5時
入館料:大人300円 子供(小学生)150円
休館日 : 月・火曜 ※但し、月曜が祝日の場合は開館

 

<開催中>
特別展 雅楽の四季〜春の巻〜
古の響を今に伝える雅楽
2011/3/3(木)〜2011/5/29(日)

※雅楽展は季節ごとに展示を入れ替えつつ、来年の2月まで続くそうです。

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