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ひらめきの月曜日
 
世界の太鼓が集まる博物館

このバケツみたいなのも太鼓

太鼓といわれてまず思い浮かぶのは、どんな太鼓だろうか。ロックやジャズのバンドで使うドラムセット、小学校で鼓笛隊のときに使ったスネアドラム、盆踊りで見た和太鼓、などなど…。

普通の人でも3つや4つ、音楽に詳しい人なら10や20くらいはすぐに思いつくと思う。でも世界中には、もっともっといろんな太鼓があるのだ。いま「もっともっと」って言われてあなたが思い浮かべた数の、さらに何倍も、何十倍もある。なんたってこの博物館だけで、約900点もあるのだ。

ここは世界の太鼓が集まる博物館である。プープーテレビで活躍中のエアギタリスト・宮城さんと一緒に行ってきました。

(text by 石川 大樹


 

もう一度いうけど900点ある

世界中の太鼓を集めて展示しているのは浅草にある「太皷館」という博物館で、和太鼓と神輿の老舗・宮本卯之助商店さんが運営している。


館内全景の写真を取り忘れたので、ヒゲの男ごしに雰囲気を感じてください。恐縮です


一歩入ると通路の両側に所狭しと太鼓が並んでおり、それがぜんぶ個性的。

「太鼓にいろんな種類があるって言ったって、細かい違いでしょ?」などと高をくくっていると返り討ちに遭う。


なんたってこれと

これが同じ「太鼓」なのだ。この2つ見ただけですでに太鼓の概念が崩壊する


こんなのがどっさり、約900点である。朝のテレビでやってる「きょうのわんこ」のコーナーを「きょうのたいこ」に変えても、4年半は持つ数だ(「きょうのわんこ」は月〜木のみの放送です)。ぜひ変えてほしい。毎日見る。

で、だ。正直いろいろありすぎて、ワールドミュージック好きの僕は胸がいっぱいなのだ。そういうわけで何から紹介していいかわからないので、もったいぶらずにすごいのから順番に出していこうと思う。

 

ラストエンペラーの建鼓一対

映画「ラストエンペラー」は、中国は清朝の最後の皇帝の生涯を描いた作品。その皇帝の邸宅に置かれていたという太鼓(建鼓)が、今は太鼓館にあるのだ。


左右の2つの太鼓がそう。(真ん中は架鼓というものですがラストエンペラーの楽器ではないそう)


あーあれね、って思ってもらうために映画の話を出したが、映画のセットに使われていたってことじゃないですよ。本物の、皇帝の邸宅にあったとされるものなのだ。


5本指の龍が描かれている。これが皇帝のシンボルなのだそうだ。(なのでいろんな物に描かれている龍はたいてい3本指)

側面にも、五本指の龍


清国皇帝愛新覚羅薄儀の弟のご息女が来館したことがあり、「昔私の家にありました」 と言って、しばらくこの太鼓の前から動かなかったという。

世界の変な楽器を見て面白がるために来た、というのが正直なところなのだが、急にこんな歴史的価値の高いものに出くわしてしまった。僕も宮城さんもあっけにとられてポカーンとしてしまい、最初に見たときは「すごい」しか言葉が出ず、2週目に回ったときにやっとじっくり見られる、という有様であった。


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