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ロマンの木曜日
 
発電用ダムのかっこよさよ

孤高のエースダム

ダムが造られる主な目的は、大まかに言うとその時代によって変わってきた。

明治時代から戦前くらいまでにかけては主に農業用のため池として、最近は治水を主な目的にしたものが多い。そしてその間、戦後から高度経済成長期にかけて日本のダム業界を牽引したのは、何と言っても電力会社。戦災から復興するにつれて逼迫する電気エネルギーを補うべく、各地に大規模な発電用ダムを次々と誕生させたのだ。


関西を救った救世主である黒部ダム(富山県/関西電力)

たとえば日本一の高さのダムとして有名な黒部ダムとその発電所は、昭和31年に着工されて7年後の昭和38年に完成している。それまでの間、ここから電気が送られる関西地方は電力不足でしょっちゅう停電していたらしい。今の関東地方と同じ!

それはともかく、日本一ということを差し引いても黒部ダムはかっこいい。厳しい気象条件に耐えてきた風格、当時の電力供給を背負って立つという使命感、そういったものがにじみ出て、孤高の存在感を放っていると思う。まさしく関西電力のエースである。


黒部ダムの堤体には誇りとか使命感が醸す風格がにじむ(富山県/関西電力)

しかしいろいろダムを見て歩くと、黒部ダムに限らず、同じくらいの時代に完成した各電力会社のエース級ダムはどこも孤高の存在感を放つほどかっこいいことを知った。国や自治体に比べて豊富な資金で、最先端の技術を使用し研ぎすまされた肉体美を持つダムを短時間で生み出していったのだ。


首都圏の電力ピークを支える日本一のロックフィル高瀬ダム(長野県/東京電力)
こちらも首都圏の電力ピークを支えるアーチダム、奈川渡ダム(長野県/東京電力)
黒部に隠れて知名度は低いけど孤高の北陸王者、有峰ダム(富山県/北陸電力)
中部電力のエース、高根第一ダムはスマートなアーチ(岐阜県/中部電力)
中国地方ダムの顔役、新成羽川ダム(岡山県/中国電力)
四国電力を率いるのは四国の長老、大橋ダム(高知県/四国電力)
日本で初めてのアーチダムは日本で初めて高さ100mを越えた上椎葉ダム(宮崎県/九州電力)
その上椎葉ダムからDNAを受け継いだ九州電力の新たなエース、一ツ瀬ダム(宮崎県/九州電力)
日本の超巨大ダム時代の幕を開けたマイルストーン、佐久間ダム(静岡県/電源開発)
これも電源開発だけでなく日本を代表するダムのひとつ、田子倉ダム(福島県/電源開発)

どうだろう。「エース」の名に恥じない存在感のダムばかりではないだろうか。

もちろんこの「エース」は僕が勝手に決めたので異論はあるかも知れない。あと北海道とかにはまだ見ぬエースもいると思う。


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