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ロマンの木曜日
 
発電用ダムのかっこよさよ

発電用ダムの生態

発電用ダムはその立地にも特徴がある。

ひとつは、山あいの小さな川にある小さな貯水池を持つ小さなダム。ほとんど水が貯められないように見えて、役割を知らなければ何の役に立つか分からないダムだけど、実はこういうダムも発電用が多い。標高の高い場所で取水した水を低い場所の発電所に落として発電したり、いくつかの小さなダムで集められた水を大きな貯水池に集めて発電に使っている。ドラゴンボールでいう元気玉である。


ほとんど越流部の山原ダムは直接発電所に水を送る(福井県/電源開発)
自分では発電せず近くの発電ダムに水を送る宮の元ダム(宮崎県/九州電力)

小さくて目立たないけど、そのひたむきさがかっこいい。山奥にはふつうの人が知らない水のネットワークが存在しているのだ。

逆に、それほど山奥でない場所で、川幅の広いところをせき止めて造られているダムも発電用が多い。これは川の水量が豊富な場所で、落差よりも水量を重視して発電している。


大正13年に木曽川をせき止めた大井ダム(岐阜県/関西電力)
球磨川のすべてを受け止めて発電している荒瀬ダム(熊本県/九州電力)

普段から水量は豊富なだけに、いざ大雨のときに上流から流れてくる水の量も半端ないため、それをスルーできるように川幅いっぱいにたくさんの水門を並べているところが多い。高さはそれほどないけど、見た目には迫力がある。

こういうダムはひとつの川に連続して造られていることも多い。たとえば富山県を北に流れて日本海に注いでいる庄川には関西電力のダムが、新潟県を西に流れる阿賀野川には東北電力のダムが、宮崎県の耳川には九州電力のダムが連なっている。


庄川の関西電力ダム兄弟・成出ダム(富山県/関西電力)
庄川の関西電力ダム兄弟・小原ダム(富山県/関西電力)
庄川の関西電力ダム兄弟の長兄・小牧ダム(富山県/関西電力)
阿賀野川の東北電力ダム兄弟・新郷ダム(福島県/東北電力)
阿賀野川の東北電力ダム兄弟・山郷ダム(福島県/東北電力)
阿賀野川の東北電力ダム兄弟・上野尻ダム(福島県/東北電力)
阿賀野川の東北電力ダム兄弟・鹿瀬ダム(新潟県/東北電力)
阿賀野川の東北電力ダム兄弟・揚川ダム(新潟県/東北電力)
耳川の九州電力ダム兄弟・西郷ダム(宮崎県/九州電力)
耳川の九州電力ダム兄弟・山須原ダム(宮崎県/九州電力)
耳川の九州電力ダム兄弟・塚原ダム(宮崎県/九州電力)

こうして階段状に次々とダムと発電所を造ることで、1つの川で原子力発電所1基分以上の出力の発電ができるのだ。ただ、魚や土砂の流れが止まってしまうという弊害もある。

というわけで、発電用ダムの生態をいろいろ知ってもらったところで、次ページでは各電力会社が誇るかっこいいダムの姿を見てもらおうと思う。


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