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ロマンの木曜日
 
発電用ダムのかっこよさよ

ワンマン上司の尻拭い、逆調整用ダム

水力発電は原子力、火力と比べて出力の増減が簡単にできるので、電力消費の多いときに水を流して発電し、少ないときは貯水に励んで次の出番に備えている。こうして、需要に対して出力を「調整」しているのだけど、出力はイコール水の量なので、発電所からの放流によって、下流では川の水の量に大きな変化が出てしまう。


発電所が大出力になれば放流される水も多くなる

そこで、大規模な水力発電所ではすぐ下流に小さなダムを造って、その貯水池で流量の増減を吸収し、下流には一定量を放流する「逆調整」という運用が行われている。

つまり、世の中の情勢や株価などによって刻々と変化する社長の要求を黙って受け止め、巧みなスケジューリングと役割分担で部下には無理をかけずに業務を遂行してしまう人望の厚い中間管理職、のような仕事ぶり。背中で物を語るタイプと言える。

ここではそんな、水を受け止めるだけでなく水の変化まで受け止めてしまう逆調整用ダムを紹介したい。おそらく、彼らが毎日数万のアクセスがあるサイトで紹介されるのは、これが最初で最後だろう。


前ページ最後の田子倉ダムの発電所からの水を逆調整する只見ダム(福島県/電源開発)
東海地方屈指の逆調整ダム、と言われても嬉しくないかも矢作第二ダム(愛知県/中部電力)
中国電力のリーダー、新成羽川ダムの逆調整をする黒鳥ダム(岡山県/中国電力)
温泉街にある逆調整ダム、社口ダム(岡山県/中国電力)
九州最大の一ツ瀬発電所の水を逆調整、杉安ダム(宮崎県/九州電力)

というわけで、40枚近い発電用ダムの写真だけでその魅力に迫ってみた。まだまだ紹介したい発電用ダムはたくさんあるし、実際に行ってみたら写真の何倍もすごいのだけど、キリがないのでこのへんで。

あなたとコンビに

火力、原子力発電と比べると出力も弱く地味な水力発電。でも、水力には水力のいいところがあって、その長所を伸ばすことで欠かせない存在となって現在まで生き延びてきた。

きっと、これを読んでくれた人の中には、ダムが嫌いとかダムはいらない、という主張の人もいると思う。そういう人には申し訳ない記事だと思うけど、忘れてはならないのは、今もどこかの発電所は動いていて、その電気がこのパソコンを動かしているということだ。

というわけで次回は「多目的ダムのかっこよさよ」に迫ります(嘘です)。

今回使用している写真は一部立入禁止区域から撮影したものもありますが、すべて許可を得ています

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