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ロマンの木曜日
 
へんな区境をめぐる

ケース2: 食い込みすぎる三鷹市

次の現場はこちらだ。



左の三鷹市が、右の世田谷区にあからさまにめりこんでいる。

なんだこりゃ?

どう考えても川の流路跡とかじゃない。人の意思が働いて、だれかがこの線を決めたのだ。でもなぜこんな形に?

 

行こう、現場へ

地図をながめて悶々としていてもしょうがない。実物大の地図は現場にあるんだぜ。行こう、若者よ、現場へ。


やってきた。道の左が三鷹市。右が世田谷区だ。

京王井の頭線の三鷹台駅から徒歩15分ほど。現場の三鷹市北野にやってきた。

まわりは農地のひろがる閑静な住宅街だ。とくに変わった点は見当たらない。


振り返ると・・これは何だ?

キャベツがコインロッカーで売ってる!

兼業農家の多いこの地域の特色のようだ。びっくりしたが、境界線とはとくに関係のないコネタだったようだ。


赤い領域が三鷹市

この、正面の住宅群のある一角だけが三鷹市となっている。まるでここにある重要な財産を杉並区から守るかのようだ。いったいこの区画になにがあるというのか?

しばらく進むと、驚愕の事実が明らかとなった。


これは、畑・・!?

「この畑は三鷹市のモンだ」

そう、ここではきっと、畑で取れる農作物をめぐって、二つの行政区で壮絶なつばせりあいが行われているのだ。もちろん、世田谷区もだまってはいない。


世田谷区:「じゃあこっちの畑は、焼き芋もふくめて世田谷区のものだ」

三鷹市:「くっ・・・」 世田谷区:「くっ・・・」

両者互角といったところである。

 

答えは、分からない

もちろん上記の推測は適当である。

この区境をさらに辿ってみたが、理由らしきものは地形や現場の条件からは見当たらなかった。正確なところは当事者に聞いてみるしかないだろう。と思って、三鷹市役所に電話してみた。

−なんでこんなふうに食い込んでるのでしょう?
担当者:「じつは私も気になっているんですが・・」

−やっぱり気になりますよね?
担当者:「ええ。ただ、デジタルデータでの記録に残っている限り、昔からにょきっと伸びてる形なんですよ。」

つまり、経緯が辿れる範囲についてはずっとこの形のままなので、三鷹市が左から生えてきたのか、それとももともとあった杉並区が削られたといったことは分からないのだ。



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