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ロマンの木曜日
 
へんな区境をめぐる


せめぎあう世田谷区と三鷹市

ぼくらが普段まちを歩くとき、市や区の境についてあんまり意識したりはしない。

それらは目に見えないし、街を歩く限りにおいてほとんど重要じゃないからだ。実際グーグルマップでもそういう境界線はすごく控えめに書いてあって、目立たないようになってる。

でもひとたび意識を向けてみると、いったいなんでこんなヘンな境界線になってるの?と思わずにいられないケースがあることに気がついた。なので、実際にその場所にいき、そこに何があるのか?を見てくることにしました。

三土たつお



まずはノーマルな境界線について確認

へんな形の境界線を紹介しようという今回の試みであるのだが、なにぶん市区町村の境界線はこういうのがスタンダードだよねっていう認識は特に共有されてないと思うので、まず触れておきたい。

ふつうの境界線ていうのはだいたいこんな感じだ。


パターン1:カクカクまっすぐ(中央付近)

パターン2:ぐねぐね(神田川:中央付近)

カクカクまっすぐのほうは、道路にそって直線に近い線を引くとまあだいたいこうなるよね、ということがなんとなく分かる引き方だ。

一方、ぐねぐねのほうはようするに川の形だ。市区町村の境界は周知のとおり川によってばっちり分かれることが多い(川の向こうは違う町)ため、川の流路がそのまま境界線となるのだ。

この2つについては、まあふつうそうだよねということを了解してもらえると思う。そのうえで、ぼくが今回変だと感じた境界線について紹介したい。

 

ケース1: 不自然に領土を主張する新宿区

最初に見てもらいたいのはこちらの境界線だ。



神田川が、都電荒川線に沿って走っているあたり。上が豊島区で、下が新宿区だ。

境界線は、ぐねぐねパターンで見たとおり、おおむね神田川の真ん中をとおっているのだけど、ところどころ不自然に新宿区が豊島区側に食い込んでいるのだ。こりゃいったい何だろう?

 

この境界線については理由がはっきりしているので先に答えを書いてしまうと、この境界線こそがかつての神田川の流路だったのだ。

川の流れを変えてしまうなんてのは一般市民の選択肢にない行為なので想像しづらいけど、かつてはあちこちで行われていた。あんましぐねぐねしてると洪水が起きやすいので、流れやすいようまっすぐにしまうのだ。


こちらが証拠写真。同じ形でぐねぐねしてるでしょう。

ひとまず事情はわかった。

わかったが、やはり現場に行ってみたい。現場にいってはじめて感じることもあるかもしれないし、また、かつて川だったということが分かる痕跡をそこに見つけられないか?ということにも興味がある。

 

現場に急行した

やってきたのがこちら、まさに事件の起きている現場である。


一見なんの変哲もないが

なんの変哲もない、ただの神田川のように見える。しかしそうではない。

優秀な刑事は現場を大切にするという。現場に残された微妙な違和感、不自然な痕跡をその嗅覚で探し出すのだ。

いったい、そこに何があるというのか?刑事になった気分で探してみたい。


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