試作機完成
延長ポールの効果で、試作機の軌道もかなり安定してきた。 つぎはいよいよ歩行しながら自分観測の実験段階に入ろう。
三脚のレバーで軌道を調整し(イオエンジン噴射)、適切なアングルを探す。
外装部分を作成
試作機での大まかな調整が済んだので、いよいよ本機の制作に取りかかろう。 試作機は機材がむき出しだったので、宇宙線等の被曝を防ための外装を作らねばならない。
焼酎のボトルを再利用
外装には使用済みの焼酎ペットボトルを利用することにした。 自分観測衛星も地球に優しくなくてはいけない。 ペットボトルの再利用はリサイクルでエコだ。
自分観測衛星「だいごろう」
外装部分も完成した。 ところで宇宙探査機や人工衛星には、親しみやすいように愛称が付いている。 この自分観測衛星も、いつまでもそう呼んでいるのも肩がこるので愛称をつけよう。 実は制作前から愛称は決めてある。 「だいごろう」だ。 これはもちろん外装素材となった焼酎のペットボトルからいただいた名前だ。
機能紹介
では、自分観測衛星「だいごろう」の機能を説明しよう。 まずは太陽電池パネル。 いうまでもないが太陽光を利用した発電装置である。 使用する他の機材にはそれぞれバッテリーがあるので、太陽光発電をする必用はない。 しかし、太陽電池パネルがあると、見た目がぐっと宇宙観測機器に近づくのではとの思いを込めて設置した。 はやぶさでいうところの「署名入りターゲットマーカー」のような役割である。 続いてGPSアンテナ。 これを装着することにより、自分の位置情報を記録することができる。
無線写真転送システム
そして「だいごろう」一番の観測装置であるカメラには、無線LANを利用してインターネットに写真を自動でアップロードできるシステムを搭載している最新のハイテク機器である。 とさも自分の手柄のように言ってしまったが、これもEye-Fiという市販のカードだ。
「だいごろう」完成
というわけで、長期の開発期間(3日)と膨大なる開発費用(このために自費でカメラを買った)をかけ、ついに自分観測衛星「だいごろう」の完成である。 さっそく打ち上げた。
いい感じじゃないですか
試作機からの調整を経て、完成版「だいごろう」は軌道上できわめて安定している。 撮影される写真も鮮明で、ミッションは成功だ。
緊急事態発生
ところが、しっかりと固定されているはずの「だいごろう」が突然制御を失い、くるりと回転してしまった。 スイングバイの発生である。 スイングバイの意味をよくわからないまま使っているが、カメラを含めた衛星本体が、僕の後にあるコピーブースに突入してしまった。 あわや大惨事である。
問題を解決
観測を継続するには、適切な問題解決方法をその場で瞬時に判断することが必用となる。 はやぶさのミッションが成功したのも、研究者達の優れた問題分析力と判断力によるところが大きい。 「だいごろう」の問題点は何か。 一脚に取り付けたアームは固定されているのだが、ベースの一脚自体が回転してしまっていたのだ。 そこでベースを一脚から、背中で固定できる三脚へと変更し、再度ミッションにチャレンジした。