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ひらめきの月曜日
 
パチンコ屋のある風景を切り取って

風が遊ぶ一瞬を凍らせて

訪れる者を高揚させるかのごとく、幟(のぼり)をたなびかせる風。そんな瞬間も店舗周辺でしばしば見られる。このページでは、風が留め置いた その一瞬を切り取ってみたいと思う。

青地に黄色く文字がはためく幟。スウェーデン気取り。

美しい自然豊かな北欧の国、スウェーデン。最近ではH&MやIKEAといった店の発祥地としても知られているだろうか。そんな洒落たイメージと、写真に読み取れる文字とがうまく整合しない。そのアンバランスが 見る者を戸惑わせる。

舗道に立ちつくす私の頬を、スカンジナビアの夜風がなでる。しかしそれは妄想に過ぎず、ここは埼玉だ。

救いは、ちょっとおどけたようにも見える丸ゴシック体。北欧の厳しい寒さにさらされつつも、親しみやすくあろうとする姿がいじらしい。

 

幟にクローズアップして撮った一枚。先ほどのものとは打って変わり、日本的な雰囲気を漂わせる。

そして読み取れる文字は、日本人なら誰でも知っている副将軍。ただし、「これが目に入らぬか!」という台詞とともに掲げるものが印籠ではなく、別のブツ。

将軍家でもその存在が悩みの種。人を楽しませたいという思いが権力と結びついた悲劇がそこにある。

本来ならばひれ伏す悪代官も、ただただあっけにとられるだけ。そんな新機軸の時代劇を予感させる一枚。

 

別の幟にクローズアップ。大きく読める「無双」とは「二つとないこと、並ぶものがないほどすぐれていること」という意味の言葉 だ。毛筆と明朝体とを組み合わせた書体もスピード感と力強さにあふれている。

だからこそ逆に、「無双」の前についている言葉が全てを打ち砕く。ちんこ無双。強いのか弱いのかわからない。

しかし、全ての男性にとって自分の物はまさに無双。人と比べるという暗闇に落ちることなく、いつでも自分自身と真摯に向き合っていたい。

 

爽やかなライトブルーが美しいこのカット。ともすれば暗くじめじめしたイメージをもたれやすい物であるにも関わらず、「爽快に!」と呼びかける逆説。

無理がある爽やかさ。例え風呂上がりだとしても、当該部はの佇まいは爽快という言葉の意味に及ばない。

どうしたところで爽快とは遠い。願いが通じることはない。

決して交わることのない二者が幟の上で交錯する。儚い祈りが虚しく響く。

 

すでにそこに記されている物を直接的に再記するのは不毛な饒舌だが、この幟の場合はやや読み取りづらいので念のため書いておきたいと思う。「チンコ好感度MAX」である。

小動物のようなかわいらしさか。それとも気配りが効くタイプか。それにしてもMAXまで振り切れるものだろうか。振り切れたところで元が元だけに、 大したことはないんじゃないか。

自分の中に矢継ぎ早に湧いてくる疑問。それは、「チンコ+好感度+MAX」という語の結合に対する根本的な不信感によるのだと思う。

背景で何かが爆発しているテンションに流されることなく、実体をしっかりと見極めたい。

 

四季折々の風がたなびかせる幟。時にいらずら心を見せるそれは、思いも寄らない表情を見せてくれた。足を止めれば風が止まって見える瞬間もある。行き急ぐことに追われる中でも、そんなひとこまを大事にしたい。


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