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ロマンの木曜日
 
小さすぎる公園めぐり

世田谷区/東北沢駅周辺のひろば


狭い公園を求めて、最後にたどり着いたのは世田谷区。まず降り立ったのは小田急線の東北沢駅で、上京して一人暮らしする街として人気のあるシモキタの隣である。

この駅の近くにものすごく狭い公園があるという情報なので、歩きまわってみた。


同じ北沢でも下と東とで賑やかさが雲泥の差
駅前の道を歩いていたら、見つけてしまった

4ページ目まで書いておいて今さらだけど、公園とか広場と言ったら、敷地の大小はともかく人々が遊んだり休憩したり自由に過ごせる場所だろう。

しかしここに紹介する世田谷区立ななかまどひろばは、そんな生易しい空間ではなかった。


確認の意味も込めてふつうの公園(北沢三丁目公園)
ゴミとか自転車はともかく、無視できない表記が

「明けない夜」のような衝撃、「入れない広場」

「広場」と名前をつけられながら柵があって入ってはいけない空間。よく街中にバラ線で囲われて雑草が伸び放題の場所があるけど、そうなるよりはいいかも知れない。

もしここが狭小公園として造られていたら、この記事のネタとしては広さも立地も最高だったけど、自治体の運営というのはネタを提供することではないのでこれでも仕方ない。結果的にネタになってしまったけど。



柵の扉には鍵がかかっている
木(ななかまど?)はともかく街灯が立っているのが公園らしい

でもこの広場、世田谷区の公式ホームページ内にある「公園一覧」ページに掲載されているのだ。もしかしたら、それを見て「ななかまどひろばで遊ぼう!」なんて人が来てしまうかも。そんな人が呆然とする後姿を見たい。来ないか。


その近くでもう一つ入れないひろばを見つけた
「かいどう」の意味は今のところ不明

そもそも柵がなくても入れるスペースがない

 

世田谷区/梅丘2-29遊び場

東北沢駅から再び小田急線に乗って、豪徳寺駅で降りた。ここで接続している東急世田谷線沿線の小さい公園を探し歩いてみる。

駅を出て少し進むと、細くてくねくねした道が入り組んだディープ世田谷の街並みになった。この辺りは起伏にも富んでいて、そんな道を歩くだけで単純に楽しいけど、免許取りたての頃に車で迷い込んでしまったことを思い出して胸がどきどきしてきた。


東北沢から4つ目の豪徳寺で降りて
少し歩くとこのくらいの幅の道が入り組む街並みに

そんな世田谷の住宅地の中に、探していた梅丘2-29遊び場はあった。でも最初気づかなくて、目の前を何度も行き来してようやく気がついた。

だって見た目こんななのだ。


ここに遊び場って名前つけていいのだろうか

一見すると、というか二度見ても三度見てもこれは神社だ。しかし神社の名前が書かれているようなものはなく、据え付けられている看板には「梅丘2-29遊び場」。区は遊び場だって言うし親は遊んじゃダメって言うしそもそも遊べるほど広くないしって、子供たちは混乱しているに違いない。


区はあくまでも公園だと言い張る
公園アイテムはベンチ1つのみ

のっけから世田谷区屈指の不思議狭小公園を紹介してしまったが、まだまだネタ切れにならないところがこの区の奥深さだ。

さらに歩いて、世田谷線と環状七号線が交差している若林方面に向かうと、途中のマンションの裏手に小さな公園があった。


世田谷区/マンション内敷地の公園

公園の看板を見ると、マンションの敷地の一部を公園として一般に開放しているようだ。名前はついてないようだけど、これが極上の狭小公園物件だった。


極上物件のニオイが漂う公園入口
マンションの一角を解放しているらしい

こ、これは...!
1周できそうでできない、通称なにがしたいんだ歩道

これはすばらしい!とんでもないお宝物件を見つけてしまった。

道路に面した階段を登って公園に入ると、階段状の遊歩道が左右に延びている。しかし、それぞれ角を曲がって、もう少しで1周できるか、というあたりで遊歩道が消滅。そのほか、ベンチがひとつある以外は木が林立しているだけ。いったいここで誰がどんな遊びを!

うろたえながら通りに戻ると、すぐ隣のマンション内にも同じような公園があった。

そして、こちらも甲乙つけ難い異次元空間だった。


まさか、そんな...!
同じ看板が!

恐る恐る中に踏み込むと、広場らしき場所は住民の自転車置場と化していた。ベンチも置いてあるが座面が壊れている。

そして、よく見ると道が先に続いている。周囲はマンションに囲まれているが、奥にも広場があるようだ。

当然行ってみると、そこは、カオスだった。


公園跡、と言った方がよさそうな雰囲気
とりあえず壊れたベンチを試してみる

奥に道が続いてる!
周りはマンションに囲まれていて薄暗い

もうここはどことか俺は誰とか今はいつとかどうでもよくなる空間

突き当たりは小ぢんまりとした広場。そこに生えている1本の木を囲むようにベンチが配されている。そして、周りに無数の植木とパイロン。

ここは何だろう。もはや公園ではない。完全に時間が止まっている。廃墟だ。これは公園の廃墟だ。

ふつうに車通りのある道から少し入っただけで、こんな異空間に軽くログインできてしまう、ディープ世田谷は恐ろしい場所だ。

かなりのボリュームになってしまったけど、もう少し紹介したい公園があるので次ページに続く。


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