私の記憶が正しければ、四万十川が最後の清流と呼ばれる所以の一つに、ダムが無いという事が挙げられていたはずだ。しかし、私の目に見えた、あの構造物は一体……?
後ほど調べて分かった事だが、どうやらあれは佐賀取水堰という発電取水用の堰らしい。堰もダムも、水を堰き止めるという機能は同じ。日本の河川法で15m以上のものをダム、それ未満のものを堰というに過ぎないという事。
私は別にダム建設反対というワケではないし、必要があるなら作れば良いと思っているが、この堰がある以上、四万十川を「ダムが無い川」と呼ぶのはいささか問題があると思う。
タクシーに乗って市生原集落へ
汽車は定刻通り、8時半過ぎに窪川駅へと到着した。予土線が四万十川沿いを走るのはこの駅までなので、ここから四万十川を遡るには、別の交通機関を使わなければならない。
調べてみると、窪川からより上流の中土佐町大野見まで、路線バスが出ているようだ。しかし、次のバスは10時20分。まだ2時間近くもある。この余った時間をぼーっと浪費するのはもったいないので、私は途中の市生原(いちうばら)集落まで、タクシーを使って先回りすることにした。
この市生原集落から壱斗俵集落にかけての一帯にも、良い沈下橋があるというのだ。 |