高瀬ダムのベースキャンプ

七倉ダムからさらに上流へ車を走らせると、突然駐車場のある広場に出て、道が通行止めになってしまいます。

実は高瀬ダムは国立公園内にあり、七倉ダム湖畔から先はマイカーの乗り入れができないのです。なのでここから先はおよそ1時間の徒歩か、専用の送迎タクシーに乗るか、そして東京電力が主宰している見学ツアーに参加しないと高瀬ダムにはたどりつけません。このあたり、同じくマイカー規制をしながら、トロリーバスをバンバン運行して大量の観光客を運ぶ黒部ダムとは対照的なのんびりした雰囲気ですが、そこが高瀬ダムの良さなのだと思います。

そこで、時間に余裕があるから徒歩でもいいかー、などと軽く考えていると、こんな看板が立っていてタクシーの乗車率アップに貢献しています（実際は徒歩で行かれる方も多くいます！）。

ちなみに東京電力の見学ツアーは大町ダムの下流にある「高瀬川テプコ館」で毎日何度か開催されていて、マイクロバスに乗って高瀬ダムと地下にある発電所をおよそ2時間かけてめぐります。とても楽しいツアーですが、ダムの滞在時間に限りがあるので、ダムをじっくり見たい人はタクシーで行った方が時間が自由に使えます。

タクシーは片道2100円とちょっとお高めですが、安全に高瀬ダムまで連れて行ってくれます。何も言わないと天端まで登っていくので、僕は下からダムが見たい旨を告げてダムの真下で降ろしてもらいました。

高瀬ダム

お待たせしました。いよいよ登場します、高さ日本2位のダム、高瀬ダムです！

これはもう完全に僕の写真の腕の限界です。本物はこの何倍も何倍も大きくて大迫力なのに、稚拙な腕で小さくて黒いカメラ・オブスキュラに取り込んだ途端に単なる岩山の写真になってしまう。

でもね、信じてほしいんです。だって高さ150mを越える岩の山が目の前にそびえ立っているんですよ？

もう少し分かりやすくするため、自分を入れて撮ってみました。

もう僕は完全に圧倒されました。ここはすごい。

あまりに現実離れした光景で、なんだか笑いながら涙が出てきてしまったほど。完全に自分の感情中枢がパニックを起こしています。

天端までは遠いですが、超巨大なダムを全身で味わいながら、堤体表面をジグザグに通っている道をゆっくり登って行きました。

天端にも特に何があるわけでもなく、帰りの客を乗せるタクシーと、貯水池の美しい光景が広がっているだけ。観光客もまばらで、ネット上と実際の知名度が見事に合致しています。

天端を歩いて行くと、いちばん端にトンネルがぽっかり口を開けていました。どこに繋がっているんだろう、と思いながら入っていくと、その先にものすごい光景が広がっていました。