天端の先に広がる地獄
高瀬ダム天端の先に続くトンネルを歩いていると、前からダンプトラックが何台も走ってきました。そういえば堤体のジグザグ道でも上り下りするダンプトラックを見たのですが、彼らは何を運んでいるんだろう。
およそ数百メートルのトンネルを抜けると、そこは雪国だった。
というのは冗談で、トンネルを抜けた場所は高瀬ダムの貯水池に流れ込む川に吊り橋がかかっているのですが、上流がものすごい崩壊をしていて、その川は気が遠くなるほど大量の真っ白い土砂で埋め尽くされていました。
これは地獄だ。
大雨などで上流の山の斜面が崩れ、そのまま土石流となってこの谷を下ってくるのでしょう。吊り橋から下流方向を見ると、流れてきた土砂はもう高瀬ダムの貯水池にまで侵入し、かなりの量が貯水池に堆積しているようです。
吊り橋の上から「よくもまあこれだけ堆積したもんだ」なんて思っていたのですが、吊り橋を渡り切るとさらに愕然とする光景が広がっていました。
その隣の谷も崩壊した上流から大量の土砂が流れてきていて、もはや元々の光景がどんなだったか想像つかないほどに堆積していました。堆積物の先端付近では、広大な堆積エリアと比較するとあまりにも小さなパワーショベルが働いているのが見えます。そうか、さっきのダンプトラックの集団はこの土砂をダムの下流に運び出していたんだな、と理解したのですが、それにしても途方もない量。
貯水池が埋まってしまっては発電できなくなってしまうので、トラックでどんどん運び出しているようですが、上流からの土砂の供給量も止まらず、イタチごっこの様相です。事態は本当に酷いけど、何だか心に残ってしまう景色でした。
自ら進んでマイナー路線
というわけで、高さが日本で2位なのに有名ではない高瀬ダムと高瀬川ダムめぐりのレポートでした。
高瀬ダムは、実際に行ってみるとあまりの巨大さに腰を抜かすことうけあいですが、黒部ダムほど観光客もいなくて、ゆっくり静かな時間が流れているような雰囲気です。
ただし、土砂の堆積だけはものすごく急ピッチでしょうけど。