実は、調べてもいつが休みかわからなかったので前日来てみたのだが、まんまと定休日だった。だがここにはどうしても寄りたく、今日はまず最初にここにやってきた。だってこんなたたずまいだもの。
「おいしそうな店」の要素が何なのかはわからないが、どうしてもこういう、店名のわからないような店にはすごく惹かれる。そしてだいたいこういう店は、うまい。
ここは持ち帰り専用の店。ゆでめん1玉70円。1人分だけ詰めてもらうのがちょっと気が引けたが、こころよく応じてくれた。ビニールに入れてそれを袋に詰めただけの、シンプルテイクアウト方式。 さて…これを持ち帰ってしまっては「ツーユ・ド」の意味がない。その場その場で、めんつゆに浸して食べちゃおう。ちょうど、お店の近くの閑散とした一角に、ベンチスペースがあった。ひっそりとセッティングさせてもらう。恥ずかしいけど、仕事してるんだなあと実感する瞬間である。
これが武蔵野のうどんだ。非常にごつい麺である。
つるっとしたしなやかな麺ではなく、太くてごつく、アグアグと噛んで食べるのがこのうどんだ。ここのお店のは白いほうだが、もっと黒っぽい麺を出す店もある。讃岐うどんのようなのも好きだが、こういう素朴な力強さも好きなところである。「食べた!」という満足感がすばらしい。 サイクリング中の食べ物は、油っこくなく消化のいい、麺類などが適しているというから、このツアー自体、理にかなっているといえよう。別の面でその倍くらい理にかなってないかもしれないが。
頼み方にコツがあると聞いていたのに
「きくや」という、地元で有名なお店だそうだ。が、この「LL」「3L」とかの単位はなんだろう。その下に「(3玉)」など、二重に表記してあるが・・・。どうも調べたところ、LLは小さめの玉が4玉分ということらしい。独自のLLという表記に惑わされたが、まあこの玉数を見れば大丈夫なんじゃないか? 「玉売り 1人前3〜4玉」 というのを指して、これが80円か、これまた安いなと思っていたら、お会計は240円であった。んっ? やりとりのとき、わからないままに「はい、それで」と言って済ましたので、そこで齟齬が生まれたのだろう。受け取ってみると、ゆうに男性2人前くらいの量だったので、それはそれでいいのだとその場をあとにした。また行くときはもっと予習していこう。
畑の中に天国があった
もともと周囲も田園地帯で天国度は高いのだけど、そこはなお一層なごやかな雰囲気だ。産みたて卵や採れたてたけのこの魅惑的な文字も見えるが、テラスで皆食べているのはうどんなのだった。 しかも、ここは武蔵野うどんでなく、讃岐うどんの味を追求しているのだった。
店を出て少し走ると、思いがけず、自然を生かした里山のような公園を近くに見つけた。すごく得した気分だ。人もまばらなのが何よりいい。そこのベンチで、例のうどんフォーメーションのセッティングである。
ここまで、ゆうに20kmは走ったことになる。消費カロリーも400Kcalを超えたので、まあうどん3玉くらい食べてもよいだろう。 いや、よくないかもしれない。またしばらく走って、カロリーを消費しておきたい。ここは東村山を離れることにしよう。新青梅街道で進路を西へとり、鉄道のない町、武蔵村山へ発つ―。