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コラボ企画
 
めんつゆ持って「ツーユ・ド・ムラヤマ」達成

第一ムラヤマ:東村山

ちい散歩オープニングのような空と木とのコントラスト。

玉川上水沿いの自転車道を自分なりに爆走、その後は車通りの多い府中街道を注意しながら進むこと、1時間。目をつけておいたうどん店へ向かうべく、横道へと入っていく。

野火止用水。木の橋がかかっていた…。 うまそうな表記「カン入」。

実は、調べてもいつが休みかわからなかったので前日来てみたのだが、まんまと定休日だった。だがここにはどうしても寄りたく、今日はまず最初にここにやってきた。だってこんなたたずまいだもの。


何てうまそうな雰囲気なんだろう。

「おいしそうな店」の要素が何なのかはわからないが、どうしてもこういう、店名のわからないような店にはすごく惹かれる。そしてだいたいこういう店は、うまい。


お昼時のせいもあってか、ひっきりなしにお客がやってくる。 1玉だけすみません、と言って買ってきた。

ここは持ち帰り専用の店。ゆでめん1玉70円。1人分だけ詰めてもらうのがちょっと気が引けたが、こころよく応じてくれた。ビニールに入れてそれを袋に詰めただけの、シンプルテイクアウト方式。

さて…これを持ち帰ってしまっては「ツーユ・ド」の意味がない。その場その場で、めんつゆに浸して食べちゃおう。ちょうど、お店の近くの閑散とした一角に、ベンチスペースがあった。ひっそりとセッティングさせてもらう。恥ずかしいけど、仕事してるんだなあと実感する瞬間である。


持参のザルに、ネギ・ほうれんそうを添えて。

これが武蔵野のうどんだ。非常にごつい麺である。


つるっとしたしなやかな麺ではなく、太くてごつく、アグアグと噛んで食べるのがこのうどんだ。ここのお店のは白いほうだが、もっと黒っぽい麺を出す店もある。讃岐うどんのようなのも好きだが、こういう素朴な力強さも好きなところである。「食べた!」という満足感がすばらしい。

サイクリング中の食べ物は、油っこくなく消化のいい、麺類などが適しているというから、このツアー自体、理にかなっているといえよう。別の面でその倍くらい理にかなってないかもしれないが。


こうして自分撮りしている私に道を聞いてきた、勇気あるおばさまに遭遇した。

頼み方にコツがあると聞いていたのに

次に目をつけていた店に向かう途中、またそれとは別の店が現れた。頼むときの数の単位が独特な店である。さっき1玉食べてお腹いっぱいではあるが、ここに寄っていってしまおう。

ここは店内でも食べられる、一見普通のお店。 だがメニューが普通じゃない。

「きくや」という、地元で有名なお店だそうだ。が、この「LL」「3L」とかの単位はなんだろう。その下に「(3玉)」など、二重に表記してあるが・・・。どうも調べたところ、LLは小さめの玉が4玉分ということらしい。独自のLLという表記に惑わされたが、まあこの玉数を見れば大丈夫なんじゃないか?

「玉売り 1人前3〜4玉」 というのを指して、これが80円か、これまた安いなと思っていたら、お会計は240円であった。んっ?

やりとりのとき、わからないままに「はい、それで」と言って済ましたので、そこで齟齬が生まれたのだろう。受け取ってみると、ゆうに男性2人前くらいの量だったので、それはそれでいいのだとその場をあとにした。また行くときはもっと予習していこう。


境内をお借りしよう。ここなら人も来るまい。 これは少し茶色がかった麺である。

いろいろあったが、腹も空いてきてたのでオールOK。

畑の中に天国があった

あとひとつ、どうしても行ってみたいところがあった。さっきの店から2km弱、小学校の裏手を抜け、住宅地の中を縫ってくねくねこいでいくと、畑がちな風景が広がる。月並みな感想だが「ここも東京か…」と独り言がつい漏れる。丘陵地をなおも進むと、そこだけ空気の違う場所があった。ここが「野口製麺所」だ。

実家(群馬)みたいだなー。 ぽこっと現れる、天国みたいな空間。

もともと周囲も田園地帯で天国度は高いのだけど、そこはなお一層なごやかな雰囲気だ。産みたて卵や採れたてたけのこの魅惑的な文字も見えるが、テラスで皆食べているのはうどんなのだった。

しかも、ここは武蔵野うどんでなく、讃岐うどんの味を追求しているのだった。


天ぷらが並び、讃岐スタイルを思わせる。 ゆでうどんを待つ間、卵プリンで糖分補給だ、ほほ。

店を出て少し走ると、思いがけず、自然を生かした里山のような公園を近くに見つけた。すごく得した気分だ。人もまばらなのが何よりいい。そこのベンチで、例のうどんフォーメーションのセッティングである。


しなやかな麺は別腹。 

おばあちゃんちのなつやすみ、といった趣き。 また1玉、腹に入ってしまった…

ここまで、ゆうに20kmは走ったことになる。消費カロリーも400Kcalを超えたので、まあうどん3玉くらい食べてもよいだろう。

いや、よくないかもしれない。またしばらく走って、カロリーを消費しておきたい。ここは東村山を離れることにしよう。新青梅街道で進路を西へとり、鉄道のない町、武蔵村山へ発つ―。


出発してから4時間、天気が変わってきた。先を急ごう。

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