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ひらめきの月曜日
 
270km走るマラソンはそれでも楽しい

大問題発生!

スタートして16時間半を経過して100km地点を通過しました。予定より徐々に遅れ始めてきたけれども、足の傷みはそれほど無く、まだ余裕がありました。


100km地点付近の街路灯の下で自分撮り。街路灯の少ない所では真っ暗でライトが無いと何も見えない。安全対策でザックに点滅灯を取り付けています。

この時の気温は5度。暑がりの私は、そのぐらいの気温でも通常短パンTシャツ姿で走ります。しかし、この後さらに気温が下がってくるとは思っていなかった。しかも、予想外の事に行く手を阻まれます。


現在気温が表示された看板。寒いのには強い方ですが、ここまで下がってくるとやはり寒い。

若干眠気が出てきた深夜2時前ぐらい。風が出てきて、更に寒くなってきただろうかと思っていた時でした。手に何かが当たり始める。

雨が降ってきました。しかもかなり本格的に。


慌てて近くの歩道橋の下に入り、体を拭いて防寒具を着て雨宿り。後から聞いた話では、気温は0度近くまで下がったらしい。とにかく寒い!

先ほどの写真の装備はレインポンチョです。天気予報は2日間晴れでした。ただ、夜ににわか雨の心配があるとも言っていたのです。今までもレース中ずっと雨に濡れて走ることはあったので、にわか雨ぐらいなら大丈夫だろうと思っていました。その考えが甘かった。気温が低いので、濡れると非常に寒い!

防寒具は防水仕様ではなかったので、これを着て走ってもまた直ぐに濡れてしまいます。大きなビニール袋を雨合羽代わりにすることも検討したものの、結局一部しか防げないので断念。小さくなって寒さを避けて雨が止むのを待ちました。

 

雨上がる

時々眠りながらその場に座って雨宿りすること1時間半近く。雨が大体あがり、右足の動きにやや違和感を覚えながら再び走り始めました。15kmほど行った先に公式エイドがあります。


このエイドでリタイアした人も多かった模様。暖かい食べ物と横になれる場所があるのはかなりの誘惑。

公式エイドではオデンなどの暖かい食べ物やオニギリが用意されていました。冷えた体にとてもありがたかった。しかし、既に予定していた時間を大幅に超えています。時間にほとんど余裕が無くなってきたので早々にエイドを後にして先に進みます。


夜が明けた時の気温は3度。寒いはずだ。

やがて夜が明けて気温は上昇。2日目に入り、後半戦に突入です。後半に入ると、この手のレース特有の現象が出てきます。

 

色々な物が見え始める

走り始めて24時間を超える頃。ひるがの高原の分水嶺を越えました。ここから先が日本海側。


この岩の先が日本海側。まだ諦めるのには早い時間。待っていろ、金沢!
本当に太平洋側と日本海側に水が分かれていた。ただ単に水路を分けただけですが。

そして、走行時間が24時間を超えてくると徐々にある現象が起きてきます。時々、頭がボーッとして見えない物が見えてくる。林や山肌が大きな家に見えたり、標識や赤白のポールが前を走るランナーに見えたり。いわゆる幻覚というやつですね。


こういうところでは大きな家が建っているように見える。木が屋根の縁。桜が壁面。コンクリートが玄関あたり。
3人ぐらいのランナーが左に向かって走っているように見える。ミラーと幟2つ。残雪は道とか車に見える。

そのうち激しい睡魔に襲われることもあり、寝ながら走っていることがあります。流石にそうなると危険なので、何処か休めそうな場所に座り5分から10分程度仮眠します。私の場合、横になって寝るとうっかり爆睡してしまいタイムオーバーなんてことになるので、なるべく座って寝ます。

他にも、地図を見ながら走っているのに、次の瞬間には自分がどこにいて、何をしているのか一瞬忘れるような状態になることもある。大体楽しいウルトラマラソンですが、これだけは辛いと感じます。


やはり食欲とか睡眠欲にはなかなか勝てないし・・・ダム水没予定地から移植された荘川桜。最初同じ物が2本立っているように見えた。

そんな幻覚に悩まされながら160km地点あたりまで来ると大きなダムが見えてきます。御母衣ダムです。


最初石造りの大きな家に見えた。ロックフィル式ダムだからか。

制限時間を気にしながらダム横の坂を駆け下りて時間稼ぎ。この辺りになると、昨夜の右足の違和感が強くなり、登りは歩き。平地は早歩き。下りは走るのを繰り返す。残り約100km。時間内ゴールにはギリギリの時間となっていました。


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