剥製、剥製、剥製、剥製、剥製
一階を見終わり、2階にあがればそこからは剥製だらけだ。だって800体もあるのだ。右を見ても剥製。左を見ても剥製。「津山の思い出は?」と聞かれれば「剥製」と答えてしまうレベルで剥製で溢れている。
展示は基本的に各動物がすんでいる場所ごとに分かれている。たとえば、アムールヒョウやウンピョウはアジアの動物のカテゴリー、ジャコウやヘラジカは北米のカテゴリーと言ったように。普通そんなにいっぺんに動物を見ることはできないから興奮する。肉食獣の横に草食動物がいたり、絶滅した動物がいたり、ワシントン条約で日本ではなかなか見れない動物がいたりするのだ。
お気に入りはアフリカ
とくにアフリカのカテゴリーが楽しかった。スペース的にも十分すぎるくらいに広くアフリカの動物が一同に会している。きっと本当にアフリカに行ってもここにいるすべての動物には出会えないと思う。
ライオンやゾウなどの動物園のアイドルも揃っている。もし、生きている動物をこんな風に並べたら、そこは血の海になってしまう。「ライオンがヌーを食べた」みたいに。だから、いわば夢の競演なのだ。
その反対側にはよく海外の家にありそうな首だけの剥製も飾られていた。小さい頃、テレビでそれを見ると壁の向こうに体があるのものだと思っていた。僕はものを知らない子供だったのだ。イタメシをチャーハンだと思っていた。今はパスタであることを知っている。その首を見ながら自分が大人になったことを感じた。
こいで苦しくて窒息死
爬虫類・両生類のカテゴリーも興味深かった。べっこうの元であるタイマイが展示してあった。いま買えば1匹100万円はするそうだ。それが5匹展示されていたから500万円。500万円か…とそれを見るときだけは遠い目になってしまった。そして、ここには世界最大の大サンショウウオの標本もあった。
この中の一匹にとても苦しそうな大サンショウウオがいた。こいを喉に詰まらせ死んでいるのだ。絶対に苦しい。でも、と僕は思う。こいが苦しいのは大サンショウウオだけではない。人間だってこいは苦しいのだ、それは胸が張り裂けそうなくらいに(ロマンチックでポエミーなことを言いましたよ、記事には全然関係ありませんが)。
冬眠中にお腹がすいてコイにかぶりついたはいいが、大き過ぎて飲み込めずに窒息死した大サンショウウオだそうだ。間抜けな話だと思うが、むかし弟が寝ぼけて大福を食べて飲み込まずにそのまま寝ていたことを思い出した。母が死ぬわよ、あんたと言いながら起こしていた。この大サンショウウオと弟の生死を分けたのは家族がいたかどうかだ。家族は大事なんだと思った。
ふしぎ館を堪能
蝶や貝、剥製以外にも化石や鉱石も展示されている。ここには何でもあるのだ。見ても見ても次から次に展示物が現れて、結局「つやま自然のふしぎ館」を出たのは閉館時間である17時だった。
館長さんに楽しかったですとお礼を言い、津山駅に向かい夕暮れの街を歩いた。近くに大きなショッピングセンターがあった。そのためなのか、僕が歩いたアーケード街は誰も人がいなかった。
一度は行くべきです
「つやま自然のふしぎ館」はとにかく楽しかった。先に書いたフリーノートでも多くの人が楽しんだことが分かったが、これが楽しくなかったら何が楽しいのだというレベルなのだ。好奇心をどんどんと刺激してくる。次が気になるのだ。 「朝早く彼女に起こされ、広島から来ました。そのかいがありました」と書いた男性の気持ちが分かった。「朝早く彼女に起こされ」は彼女への感謝なのだ。こんな素晴らしいところを教えてくれてという。 オレは自分で調べて知ったんだけどな。
つやま自然のふしぎ館 岡山県津山市山下98−1 Tel:0868-22-3518 https://www.fushigikan.jp/