人体の神秘
剥製はまだまだ続くのだけれどこのページでは一旦お休み。さっきのキリンの剥製から先に進むと「人体の神秘」という展示スペースがある。
ここでは人類の体のこと(進化の過程や体の成り立ち)が分かるのだけれど、一番目を引かれる展示物は、この博物館の創設者である森本慶三氏の脳や肝臓だ。僕はいままで脳などは写真でしか見たことが無かったのでやっぱりここでも「すごい!」と親の敵のように連発していた。
遺言だったそうだ
森本氏はこの「つやま自然のふしぎ館」を30年間の歳月を費やして開館させた。1963年のことだ。しかし、その1年後に亡くなってしまう。そして遺言書には死後、自分の臓器を標本としてこの博物館に寄付することが明記されていた。
もともと人間の神秘を伝える展示スペースはあったが、そこに標本として臓器があった方がいいと森本氏は考えていたそうだ。いまでこそ「人体の不思議展」などで本物の臓器を見る機会があるが当時はなかなか見れるものではなかった。だから自ら遺言書にそう書いたのだ。
僕はそんなことできるだろうか? と考える。きっとできない。だって痛いのが嫌なのだ。注射ですら嫌なのに。死んでからでもなるべくメスとかは避けて欲しいと思う。できればそっとパソコンのデータと共に葬って欲しい。多くの人にそんな機会を与えた森本氏をなんだか尊敬してしまう。
貝、蝶、剥製の天国
さらに進むと貝が展示されていた。それも1200個。 僕は貝を見るだけでも嫌だという女の子を知っている。彼女をここに連れてきたらどうなるのだろうと考える。きっと「何、連れてきてんのよ」と言って彼女は僕をけると思う。そこまで考えて「あ、それ悪くないな〜」と口元が緩んだ。
僕は基本的にアサリやシジミなどの食べる貝しか知らなかったけれど、世界にはいろいろな貝があるのだと再確認させられた。4円切手にもなったベニオキナエビスもあった。どうでもいいけれど、最近切手なんてとんと使っていない。岡山から手紙を書けばよかった。自分宛に。元気ですか、僕と。
貝を見て、次の部屋に入ると今度は蝶を中心に昆虫が展示されている。その数は1500匹。やっぱりすごい。珍しい蝶も展示されているし数も多いしで圧倒される。世界最大の蝶といわれるアレキサンドラトリバネアゲハも展示されていた。
昆虫界では大抵の場合、メスの方が大きくて地味で、オスの方は小さく色鮮やかだ。館長さんは「人間とは逆ですね」と言っていた。確かにそうだと僕も思う。よく「夜の蝶」なんて言ったりするけれど、本来は「でかくて地味」なものと言うことになる。現実は逆で綺麗なものをさす言葉だけれど。
驚くべきは僕は本来たいして蝶や貝に興味が無いことだ。それなのに、ここに来るとまるで自分が昔から好きだったのではないかと思うほどに興奮する。その要因のひとつに数が多いというものがあると思う。1円拾ってもどうも思わないが1億円拾ったら興奮する。それと同じだ。一割もらったら1000万円だ。