今日一番の山場である。2段になった滝で、高さは20mほど。登るのは滝の横の崖で、高さおよそ30m(いわゆる高巻き)。登るルート自体は足場もあるしホールドもしっかりしているので難しさは無い。
ただ、とにかく高いのだ。30mって言ったらビルでいうと7,8階だ。その高さで、崖についた幅10cmくらいの足場と、木の根や岩の角を掴んで登っていく。
下を見るとはるか足もと遠くで白く水が跳ねていた。大きかった滝の音が小さくなった頃、ようやく上に着いたが正直生きた心地がしなかった。すると倉本さんが、「思い出した。オレが初めて連れてこられた沢がここだった。生きて帰れるんかいな、って思いながら登ってた」と言った。
今の僕の心境が大体それです。
ここを越えたあとも3m〜5mほどの滝はいくつかあったのだが、もはや恐怖は感じなかった。これがクライマーズハイってやつか?
ここまで来るとだいたい小川谷の遡上ルートは終わりになる。 |