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はっけんの水曜日
 
寒い!怖い!でも楽しい!沢登り

どんどん進むと、もはや濡れるとか濡れないとかどうでもよくなった


滝のすぐ横を登る。今回の写真がおおむねブレてるのは、沢が薄暗かったのとOptioっていう防水デジカメを使ったからです。防水なのは良いんだけど、カメラとしての性能がちょっといまいちでして。

水にもジャバジャバ入っていく。もう濡れることに躊躇はない。

暑い。11月の丹沢。時間は朝8時。寒いはずの状況なのだがあまりに暑い。岩と滝を越えるたびに体温が上がり、テンションも上がる。

怖いのだが、その恐怖が高揚感になり気持ちを盛り上げてくれる。指先を掛けたホールドに命が掛かってるというシーンが何度もあった。


もの凄い勢いで流れる水。岩に取りつくために滝壺に入らないとならなかった。股もびしょ濡れ。

7,8mくらいの崖。ホールドが少なくて登るのが大変だった。

助け合いながら登るのも楽しい

クライミングは登るのが上手い人もいれば、苦手な人もいる。僕なんかはクライミング仲間の中ではぶっちぎりで下手なのだが、そういう人でも助けを借りれば登れる。

沢を進むと、大学のワンゲルチームが「つるつるの大岩」と呼ばれる巨大な1枚岩を登っていた。ここではリーダーが先に登り、残置(山にはその場に残されたロープやハーケンなどがあるんです)のロープを延長して、部員を引き上げていた。

中には初心者っぽい女子大生もいたが、助けを借りることでなんとか登っていた。僕らも時にはスリングを使って引っ張り上げたり上げられたりしながら沢を登り続けた。


小川谷名物、ツルツルの大岩。
残置のロープにスリングを結んであぶみ状にして登る倉本さん。

F11、2段20mの大滝あらわる


水の勢いがすごいので、歩くにしても岩を掴んでないと流されそうになる。

写真では実際の迫力の1割も伝わらないと思うが、正直震えた。写真左上の緑色の部分が崖になっていて、そこを登る。この日のルートで一番怖かった。

今日一番の山場である。2段になった滝で、高さは20mほど。登るのは滝の横の崖で、高さおよそ30m(いわゆる高巻き)。登るルート自体は足場もあるしホールドもしっかりしているので難しさは無い。

ただ、とにかく高いのだ。30mって言ったらビルでいうと7,8階だ。その高さで、崖についた幅10cmくらいの足場と、木の根や岩の角を掴んで登っていく。

下を見るとはるか足もと遠くで白く水が跳ねていた。大きかった滝の音が小さくなった頃、ようやく上に着いたが正直生きた心地がしなかった。すると倉本さんが、「思い出した。オレが初めて連れてこられた沢がここだった。生きて帰れるんかいな、って思いながら登ってた」と言った。

今の僕の心境が大体それです。

ここを越えたあとも3m〜5mほどの滝はいくつかあったのだが、もはや恐怖は感じなかった。これがクライマーズハイってやつか?

ここまで来るとだいたい小川谷の遡上ルートは終わりになる。


山沢さんもガツガツ登っていく。ただただ必死で登り続けた。

これはこれで高さ7mくらいあるので落ちると大変にマズイ。

堰堤を2つ越えて終了

いよいよ小川谷の遡上も終盤。堰堤に付いたロープをよじ登り、下山するための登山道にたどり着いた。もう危険な箇所はほとんどない。ほっとひと安心。どうにか生還できそうだと思った。

沢登りは思ってたよりも大変だったし、怖かった。でも思ってたよりも楽しかった。「あ、今オレの指先に命が掛かってる」という生々しいスリルが、無事終わってみると気持ちいい(いや、ちゃんと確保して登れよ、という意見もあるだろうが)。


普通に歩けるってだけで有り難い。非常に歩きやすい。

帰りの下山道は、半分消えかけた山道で、目を懲らすとなんとなく道だなぁ、って程度のものだった。それでも沢と比べたら格段に歩きやすい。

何ヶ所か崩れてる所もあったし、切り立った崖になってる箇所もあったが「二本足で歩ける」ってだけで素晴らしく楽で、最後は車を止めた場所にちょうど出た。

沢から登って下ったら車のところで、なんともユーザービリティ溢れる良い沢だなぁ、と思って温泉に入って東京へ帰った。

沢登りは楽しいので今度は夏に行きたい

帰りに丹沢湖のほとりにある食堂で食べた「丹沢ラーメン 840円」。適当な味がして美味かった。山菜とかきのこが、加工食品っぽい味で美味かった。

沢登りが普通の山登りと全然違って驚いた。クライミングとも違うように感じる。なんというか、より自然に身をゆだねる感じというか。廊下状になった谷を歩き、登る以外には進めない沢を登っていると自然にすっぽり覆われた様な感じがしてきて気持ちよかった。

今度は夏に存分に濡れながらのシャワークライムをしてみたい。

※注意:デイリーポータルZなので軽めの文体で書いてますが、沢登りは大変に危険なスポーツです。必ず経験者の指導の元、十分な装備で行いましょう。くれぐれも遭難や滑落に注意してください。


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