デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


はっけんの水曜日
 
寒い!怖い!でも楽しい!沢登り

素晴らしい天気に恵まれました


ピンク色の綺麗な朝焼け。僕が山に行くと大体天気悪いのでこんなのは珍しい。

朝。ツエルトを出ると秋っぽい雲がうっすら掛かった青空で、朝焼けが雲を染めていた。


山ほどあった薪もほとんど燃えてしまった。

朝6時に起きて朝ご飯

ツエルトを出るとたき火がくすぶっていた。細い枝をくべ、もう一度火を付ける。寝起きの冷えたからだに炎の熱が嬉しい。

インスタントラーメンをそれぞれのコッヘル(キャンプ用の鍋)で作り、朝ご飯。サッポロ一番塩ラーメンってこんなに美味しかったっけ。

寝袋やマットを撤収し、沢登りの装備を準備した。


ちょっと薪を追加すると炎が上がる。嬉しいねー。
山の朝に食べるインスタントラーメンは異常に美味い。

ロープやスリングなどはリーダーの倉本さんが装備。

沢登りの装備はクライミングの装備に似てる

沢登りでは滝や崖を登る。だから装備としては、普通の崖を登るクライミングと大体同じだ。腰にハーネスを着け、カラビナやスリングと呼ばれるナイロンのロープ、高い崖でも対応出来るように50mくらいのロープを持って行く。頭にはヘルメット。落石が当たっても生き残る確率が上がる。

クライミングと違うのは足もとで、クライミングシューズではなく沢シューズ(または沢タビ)を履く。普通のクライミングシューズは裏がツルツルのゴムだが、沢シューズは裏にフエルトが張られている。コケが生えたすべりやすい岩の上でもすべりにくいのだという。

それからスパッツ。すねを岩にぶつけても痛くないように足に着ける。


スパッツと沢シューズは保温性も高い。
木村ポーズ。実は僕の沢タビは釣り用なので保温性がなかったり、スパッツを登山用の雨具としてのスパッツと間違えてたりして装備がややおかしい。ヘルメットは借りた。

 

キャンプをした河原から滝まではすぐでした


最初の滝。どこを登ろうか検討中。

滝までは大きな岩を飛んで渡ったり、平坦な河原を歩いたりでかなり平和。まったく危なげない。が、突然目の前に2mほどの滝が現れた。ここからが本当の沢登りだ。

コツなどは特になく、とにかく登れそうなルートを探してそこから登るだけ。たき火の件もそうだが、沢は色々自由すぎる。


滝の横の岩にへばりつくようにして登る。

とにかく登る

2m程度と言っても、垂直の壁をよじ登るのはなかなか大変だ。クライミングジムでは色とりどりのホールドがあるのでどこを登るかよく判るが、実際の岩には色なんて付いてない。

手探りで掴める場所(ホールド)を探して、足場を探して、少しずつ体を上げて行く。ホールドも、いつ石が割れて外れる判らないので非常に怖い。勝手がわからないうちは余計に怖い。

インドアクライミング。どこを登ればいいかは一目瞭然。

巨大な岩と壁の間を登る。そこには当然冷たい水が勢いよく流れている。
ようやく沢登りの大変さが判ってきた顔。あひゃー、みたいな。

 

人間ってホントに小さいか弱い生き物だなぁと思わされる。

自分の足が信用できない恐怖

クライミングで大事なのは、実は手ではなく足だ。手の力なんてのは足の力と比べたらゴミみたいなもんで、力を入れ続ければあっという間に消耗してしまう。だから、クライミングではいかに手を消耗させず、足で体を支えるかが重要になってくる。

だからクライミングシューズや沢シューズを履いて、足を使えるようにするのだ。これがクライミングシューズなら、どのくらいの角度でどのくらいの重さまでなら踏ん張れるかが判る。慣れてるから。だが、沢シューズは今日初めて履いて、今日初めて登っているので、どのくらい踏ん張れるのかがわからない。

これが怖い。

そもそもクライミングでは濡れた岩なんて登らないし、コケも生えてないし、手にはチョークを付けて滑らないようにするが、その全てが沢登りでは否定されてしまう。

登るのに必死なあまり、水の冷たさなんて感じなくなってしまった。むしろ暑いほどだ。なるほど、確かに11月の沢登りは寒さという点では全く問題無かった。

ただ、なにしろ、怖い。


10mくらいの滝の横を登る。5mを越えると、落ちたらゲームオーバーだなぁと思う。スペランカーは大げさじゃないと思う。
狭い足場と僅かな手がかりをもとに登っていく。とにかく登るしかない。

足を突っ張って登ったりする。クライミングよりも空間の使い方にバリエーションがあって面白い。

ようやく滝を乗り越えると次の滝が見える。1m程度の小さな滝は無数に出てくるし、2m程度の滝も頻出する。越えても越えてもまだ滝がある。

岩は水でツルツルに磨き上げられ、滑るなと言うのが無理なほど滑りやすい。足の裏全体をべたっとつけて、出来るだけ摩擦が大きくなるようにして慎重に歩いた。


すいすい登っていく倉本さん。ついていくのがやっとさ。

一度登り始めたらもう登るしかない

沢登りは普通の登山と違って、登り始めたら引き返すことが出来ない。なぜかというと、登るより降りる方が圧倒的に危険だからだ。どうしようも無くなれば懸垂下降(※)で降りることも可能だが、何度も懸垂下降をしていては日が暮れてしまって更に危険になる。ということで、現実的には登ってしまうのが一番良い。

だが、時として「どうやって登るんだよ・・・」みたいな滝も出てくる。例えば、小川谷だとF11(11番目の滝)が高さ20mある。

狭い谷で見上げる20mの滝というのはなかなかに迫力があり、巨大モンスターに似た迫力がある。しかも、そこを登らないと先に進めないのだ。後ろには戻れない。先に進むにはとにかく登らなきゃならない。

当サイトライターの住さん(高いところが嫌い)がいたら楽しかったろうなぁ、なんて思いながら先に進んだ。

 

 

 

※ロープを使って垂直の崖を降りる技術。その為の装備(エイト環やATC)は持ってきてある。


次のページではそういう滝についても書きますが、写真はあんまりありません。なぜなら、本当に怖くて写真を撮るどこじゃなかったからだ。


< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.