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はっけんの水曜日
 
寒い!怖い!でも楽しい!沢登り


想像以上にジャバジャバと水に入っていきます。当然冷たい。

キーボードで「!」と打つと、エンターキーを打つときに力が入りませんか?こんにちは、松本です。

僕はその風貌から運動とかしないように見られがちですが、山にはよく出かけまして、クライミングなんかもしちゃいます。

普段は普通の登山道を登る(概ね歩く)んですが、今回は水が流れている「沢」を登る「沢登り」にチャレンジしてきました。登ったのは11月1日。沢登りとしては結構ギリギリの季節です。平たく言うと、寒い。

そんな沢登りの一部始終をご覧下さい。

あと、当サイトのクラブ活動で「橋部」を始めたので橋が見たくなったら見てみて下さい。サムネイルの写真が気持ち悪いと大評判です(某掲示板とかで)。

松本 圭司



左が倉本さん。右が山沢さん。写真が後ろ姿なのは、そういう写真をすっかり撮り忘れたからだ。

沢登り経験者の二人に連れて行ってもらいました

沢を登るのが沢登りなのだが、僕が普段やってるような普通の山登りには無い物がある。それは、

・たくさんの水
・高い滝
・切り立った崖

どれも危険だ。鎖とかロープもあまり設置されていない(普通の登山道は危険箇所に鎖とかロープが付いてます)。当然僕の様な素人がいきなりやっていい山登りじゃない。という事で、学生時代ワンダーフォーゲル部に所属し、厳冬期の冬山なんかも登っちゃう倉本さんと山沢さんに連れて行ってもらった。当然二人は沢登りも経験者。

山沢さんは以前デイリーポータルZにも登場している(玉置さんの記事)。僕とはどういう縁かと言うと、僕は「増刊週刊大衆」という雑誌で「B級グルメ食べ比べガイド」という連載をしているのだが、その担当編集者が山沢さんなのだ。

毎月最終金曜日発売で、主にコンビニで売ってるので是非買って下さい(今月は11/27発売です)。今月は鍋の素特集だよ。


ぐいぐい曲がりくねった林道を上っていく。

丹沢の小川谷に行きました

今回行ったのは神奈川県にある西丹沢の小川谷。東京から車で3時間ほど。丹沢湖の上流にある玄倉川、その玄倉川に流れ込むのが小川谷だ。

難易度的には中級。中級というのは、つまり、初心者グループだけで行ったら生きて帰ってくるのは難しい、というレベルだ。くれぐれもこの記事を読んで気軽に初心者グループで小川谷に行かないようにしてください。

山と渓谷社の「関東周辺沢登りベスト50コース」によると、「「親水性沢登り愛好家」にはもってこいのダイナミックな沢だ。(中略)まったく濡れたくないという人にとっては、やっかいでめんどうな沢でもある。」と書かれている。

つまり、ガンガン濡れる、という事だ。この季節に。危険な上に濡れるのだ。


堰堤(えんてい)についた鉄梯子を何個も下りて沢へ行く。

もともとこの沢登りは9月上旬に行く予定だった。だが、都合が悪くなったり天気が悪くなったりで延び延びになって11月になってしまった。

僕は沢登りってのは7月〜9月くらいの暑い時期にやるもんだと思っていた。だけど今は11月。ここんとこ関東でもやや寒い日があるわけで、こんな寒い中で沢登りなんて、行って大丈夫なのだろうか?と思って聞いてみたら全然問題無いと言われた。

あ、問題無いんだ。

だったらいいや。という事で納得した。納得するしかなかった。とりあえず、神田のさかいやに行ってダウンジャケットを買った。


まずは河原でキャンプします

林道脇のスペースに車を駐めて沢まで降りた。高さ10mくらいの堰堤(小さなダムみたいなやつです)に付いている梯子をいくつか降りて河原に着いた。

沢登りをするのは次の日の朝からで、今日は河原でキャンプをする(※)。だから沢登りの説明とかも次のページになる。なんで沢登りの記事でわざわざキャンプの部分まで書くかというと、それが大変に面白かったからだ。

※天気によっては増水で大変な事になるので河原でのキャンプには注意しましょう。今回は天気予報などきちんと確認した上でキャンプしています。


この河原でキャンプ。薪が沢山落ちていた。

木をたくさん集めてきました。倉本さんが火を着けます。

沢は自由だ。たき火もしちゃうよ

普段の山登りでたき火はしない。なんでかって言うと、山でたき火をすると怒られるからだ。山火事が起こったら大変だとか、登山道や地面が傷むとか、そういった理由で大抵の山ではたき火は出来ない。

が、沢はその辺自由なのらしい。河原にはたき火の跡があるし、沢の本でも当たり前の様にたき火をしているし、そういやヤマケイ(山登りの雑誌)でもたき火をしてる記事を読んだ事がある。ちょっとしたカルチャーショックだ。多分、みんな水で流れちゃうからなんだろう。

河原には手頃な流木が沢山落ちていて、山沢さんと倉本さんは「こんなに薪に恵まれた河原は珍しい」と言いながら嬉しそうに薪を集めていた。


燃えやすいように木を組む。かなり慣れてますよ。

枯れ葉や細い枝に火を付け、徐々に太い枝へ。倉本さんは手慣れた様子でたき火を作って行く。

太い流木は湿っているんだけど、火の近くに置くと勢いよく湯気を上げて徐々に乾き、燃えていく。あたりは少しずつ暗くなって寒くなっていくが、火に当てた手は温かく、冷えたビールがうまい。

沢登りを始める前から、普通の山登り(一般ルートを登る山登り)とはちょっと違うんだなぁ、と実感した。


河原に張ったツエルト(簡易テント)。大人二人くらいは寝られる。
たき火っていいなぁ。温かいし明るいし。

色々焼いて食べますよ

倉本さんも山沢さんも「沢登りって言うか、たき火がしたくて沢に来てる」と言う。その言葉の通りたき火は楽しい。火遊びなんて普段の生活じゃできないけど、沢なら出来るのだ。

しかも、美味い。なにがって、たき火で焼いた食べ物がだ。


たき火の周り以外真っ暗。この雰囲気も素敵だ。

木の枝を削って串を作り、ウィンナーを刺して焼く。煙の匂いが調味料になっている。

夕飯は、丹沢湖の近くにあった食品店で買った品物の数々。ウィンナー、サンマの干物、ホタテ、肉の味噌漬け、芋、きのこ。芋や肉はアルミホイルで包んでたき火に投入して焼く。串に刺せる物は、その場で削って作った串に刺して焼く。

なんとも粗野で楽しい。どれもこれも温かくて素材そのままの味で美味い。


ほっくり焼けたサツマイモ。芋ってこんなに美味かったっけ。

飲んで食べて燃やして飲んで

時々薪をくべたり位置を変えたりしながら酒を飲み、食べ物を焼き、頬張る。

山の話をしたり、ワンゲルの話を聞いたり。たき火と酒は人の心を開かせるのか、なんだか色々しゃべったような気がする。でもあまり思い出せない。それもまたたき火の魔力か。


ホタテは貝ごとたき火に投入。味付けは醤油とバター。
きのこ汁。味付けは醤油だけだけど、きのこの旨味が濃い。

夜は更け、眠くなる

普段、僕は山では早い時間に寝てしまう。泊まりで山に行く場合、16時には泊まる場所(山小屋やテント場)に着くようにする(※)。テントを立てたり荷物を片付けたりして、夕飯を食べるのが18時。あとはもう暗いし寒いしすることも無いのでさっさと寝てしまう。

だけど、たき火があると火の世話とか火遊びとか、する事があるのでなかなか寝ようという気にならない。おおよそ食べ終わり、話が尽きてもみんなで火を囲んで起きていた。

パチパチと薪が爆ぜる音と川の音と木の葉を揺らす風の音だけが聞こえた。

※遅くなると日が暮れて危険だから。明るいうちに宿泊地に着くというのが鉄則。それでもヘッデン(山沢さん達は「エレキ」って呼んでた)、つまりヘッドランプは必携。


倉本さんと山沢さんは冬山用の寝袋を持ってきたそうなので、外でそのまま寝ました。

23時。気付いたら寝てた。はっと起きて、寝袋とマットを抱えてツエルトの中で寝た。僕の寝袋はやや薄いやつなんだが、ダウンジャケットを着て寝袋に入ったらむしろ暑いほどだった。

あっという間に意識が無くなり、起きたらもう朝。いよいよ僕の沢登り初体験が始まる。


満月に近い月が出てました。月明かりだけでも結構明るい。

いよいよ沢に登ります>
 

 
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