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ひらめきの月曜日
 
捜索・ツートンカラーパッケージ


ずいぶん前にたまたま買って、中身を飲み終わった後もずっと捨てないでいる牛乳パックがある。右に写真を載せた「ふるさと3.6牛乳」だ。

とっておいてあるのは、そのパッケージのデザインが気に入っているからだ。とは言っても、ご覧の通り特に凝っているわけではない。至ってシンプル。

けれども、その単純さが逆に印象的。赤と白のツートンカラーという色づかいもかっこいい。

特に使っていないまま、ずっと大切に保管してあるこのパッケージ。他にも同じような雰囲気の製品はないか捜索したところ、予想以上に難航しました。

小野 法師丸



意外と珍しくなっているツートンパッケージ

まずはこの牛乳パックについてもう少し詳しく見てみよう。購入場所はもう覚えていないが、どこかの何気ないスーパーだったと思う。買ったときは特にそのパッケージに惹かれたわけではなく、何の気なしにカゴに入れただけだった。


昇っていく太陽がモチーフか
どの面を見ても赤と白のみ

家で中身の牛乳を飲みながら、なんとなくこのパックを眺める。なぜだか印象的なデザインではないか。

白地に赤インクだけでの印刷というのは、印刷コストの低減という理由が推察できる。おそらくはそうしたコスト面を考慮したツートンカラーであるのだろうが、このシンプルさが逆に新鮮に見える。


お寺のこの手の掲示はいつも気になる
筆者が小学生の頃に作った木版画

コントラストの高い二色を配したデザイン、と考えて思い浮かんだのはまず書道だ。真っ白い紙に達筆で書かれた文字には、問答無用の説得力がある。色を増やすというデザイン上の逃げ場がないのも、筆そのものの運びで勝負するしかないという緊張感につながるのだと思う。

他には単色の木版画もそうだろうか。こちらは小学生のような子供が彫っても、木訥とした味わいが出て心に残るものがあるだろう。


牛乳でのジャケ買い

複雑でない分、響くものがあるツートンカラーのパッケージ。「ふるさと3.6牛乳」を気に入って以来、もっと集めたいと思って旅行に出かけたときは地元のスーパーに寄って牛乳売場を探すようにしている。

この「貝瀬牛乳」もそうだ。パッケージを見ると製造所は群馬と書いてあるので、その辺りに出かけた時に買ったのだろう。


あーもう、かわいいね、これは
インクは全て緑

こちらは緑と白のツートンカラー。キューピーのような子供の大きな顔がまず目にはいる。その下の曲線に沿った「MILK」の文字もいい感じだ。

しかし実は、私が持っているツートンカラーの牛乳パックコレクションはこれで終わり。先ほども書いたように、遠くに出かけたときは地元の店で探すのだが、見つけることができないのだ。これはずいぶん意外なことだった。

身近なところに見落としがあるかもしれないと思って、近所のスーパーで牛乳売場を確かめる。どうかな…。


条件に当てはまらないものばかり

ひとつひとつをよく見てみるが、ツートンカラーのものはない。それぞれのデザインは同系色で揃えているなど統一感はあるのだが、完全なツートンというのは見当たらない。

「白と他の色」という二色のベースカラーでまとめつつ、そこにアクセントとして添えるように、もう一色が少しだけ入っているものも多い。惜しいのだ。

ツートンカラー探しを牛乳パックに限定するから難しいのだろうか。そう思って別の売場も探してみる。


写真入りは全滅
惜しいのも中にはあるのだが…

しかし、探す対象を広げたにも関わらず、成果は得られない。パッケージには商品の写真が入っているものが多く、それはもうその時点でアウトになるからだ。

「この商品の中身はこんな感じですよ」ということを訴求するパッケージの写真。牛乳は中身のビジュアルで勝負するわけではないので、写真を載せる必要はない。それ以外の多くの商品は中身を訴えたいわけだから、考えてみれば牛乳というのはシンプルなパッケージになりやすいものではないかと気がついた。

中身のビジュアルで勝負しないものがシンプルなパッケージになりやすい。このスーパーではツートンパッケージを見つけられないかと思ったが、その法則を実証するものをなんとか見つけることができた。


確かにそうだ

食塩だ。それも「○○の塩」といった産地や製法をアピールするものではなく、塩事業センターが扱う一番シンプルな食塩。

「毎日使うから、シンプルがいい」とパッケージに書いてある通りでもある。確かに素朴な味わいのパッケージだが、商品についてのコピーがいくつか書かれているのが雑音となって、先の牛乳パックのようなシンプルさにやや欠ける。

他にはないかとさらに探す。見た目も重要なポイントになるお菓子類には見つけられないだろう…と思いながら探したところ、ひとつあるではないか。


確かにツートン

明治の板チョコレートだ。言われてみれば、これも中身のビジュアルが重要になる商品ではない。

金と茶色だけの包装。確かにシンプルなよさはある。直球勝負のいさぎよさが気持ちいい。ただ、先の牛乳パッケージから感じ取れたものがなんとなく見えてこないとも感じる。

メーカーロゴと文字と直線のみという、デザイン性を極限まで廃したことによるのだろうか。実はちょっとは遊びも欲しい、という思いが私の方にあるのかもしれない。

なかなかこれだと思うものに出会うのは難しい。店の種類を変えて、もう少し探してみよう。


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