ツートンパッケージを求めて業務用

ツートンカラーというシンプルなパッケージを探し求めている今回の試み。しかし、商品を訴求するために各社ともパッケージにさまざまな意匠を施しているので、なかなか目的に適ったものが見つからない。

ならば、パッケージの見た目が販売上のポイントにならない商品ならよいのではないか。

そう思ってやったきたのは、東京・台東区の合羽橋道具街。厨房器具などの専門店街として有名だが、並んだ店の中には業務用の商品を専門に扱う店もいくつかある。

飲食店が調理・加工した上で商品として出す業務用食品。そこに求められているのはあくまで中身と低価格である。パッケージに凝る必要はなく、あくまでシンプルでよいはずだ。

そう思って探してみたのだが、予想に反してザクザク見つかるという風ではない。

写真の「インデラ・カレー」も「クレショクのマッシュポテト」も、フォントのデザインなどは求めている雰囲気にマッチしていて実にいい感じ。しかしいずれも、複数の色を使ってしまっているではないか。惜しい。

単色印刷はコスト削減という目的があるのだと思うが、実はそこに一色追加するくらいはあまり変わらないのだろうか。

それでも中には業務用ならではのシンプルパッケージを見つけることができた。左の写真、「和風きのこ」はかなりの素っ気なさ。

正直なところ、ちっともおいしそうな雰囲気は感じられない。中身をわかっている人だけが買う、というシンプルさ。ツートンという条件は満たしているのだが、プラスアルファのアピールがほしい。

その点、業務用小分けマーガリンの「フレッシュマリン」はいい感じ。水色と白という組み合わせがまず綺麗。

「○年○組○個」というのは、主に給食用として使われる想定からだろう。つまり消費する対象は子供。そのためか、横に添えてあるキャラクターのイラストもほどよい親しみも湧かせる。

続いてはSUNYOブランドのご飯物缶詰。中央のバーコードが残念ながらも、ツートンと言ってよいデザイン。

この手の食品は缶そのものを手に取るとよくわかるが、食品に対する「おいしさ」や「満たされ感」といった期待が全く湧いてこない。そこが逆に印象的でもある。

しかしこの系列の缶詰は、災害時の緊急用食糧という意味合いも強いのだろう。そう考えるとこういうデザインの方が説得力があるとも思える。

今回見つけた中で、探している感じに一番近いと思ったのがこの業務用ハヤシフレーク。白地に赤、という国旗にも通じる取り合わせがまず強力。

「ハヤシフレーク」の書体も力強い。「明治キンケイ」というブランドも聞き慣れなくて新鮮。「F-1」という右下の表記も意味がわからないままにかっこいい。そして右上の四角に囲まれたマークの形状が、あらぬ想像をかき立てる。なかなかよいではないか。

そういうわけで、意外と難航したツートンカラーパッケージ探し。しかし後日、パッケージのことは気にしないでスーパーをうろうろしていた時に気がついたものがあった。

コカ・コーラの缶がそうではないか。白と赤のシンプルなツートン。そう言えばそうだ。確かに美しい。

ただ、これを見つけた飲料コーナーを探しても、ツートンデザインのものは少し探しても目につかない。スプライトやファンタといった同じ会社の昔からあるドリンクも、パッケージはにぎやかになってしまっているのだ。

しかしコカ・コーラは至ってシンプル。会社の名前にもなっている商品だけあって、クラシックであることが今でも続いているわけだ。だが、厳密に見ると死角もある。

文字の一部とバーコードが黒なのだ。もちろん全体としてはツートンカラーのデザインといってよいのだが、手の中にあるものが本当に二色しか使われていない、という厳密性には欠けてしまう。

しかし同じ飲料コーナーに、その部分も含めて適うものを見つけた。

大塚製薬のポカリスエットだ。普段からよく目にしていて、現在でもメジャーな主力商品ということもあって気がつかないでいたが、今回探している条件は全て満たしたパッケージと言っていい。

実はコカ・コーラのものと似た曲線の意匠も、デザイン上の遊びとしてちょうどいい。裏側の文字やバーコードの表記も全て青と白。意外と身近に探していたものがあったわけだ。