群馬県を散策
つづいては群馬県を歩く。 この部分の群馬県境は人の鼻のようなかたちをしている。 それも、なかなか端正なかたちの鼻だ。 もし人間だったら、映画俳優になれるのではないだろうか。
ロードムービー 群馬
どういうわけか、群馬エリアには味わいのある錆びた金属のオブジェが多かった。 農機具などがそのまま放置されているだけなのでオブジェではないが、そう見えるようなひっそりとした侘しさを感じた。 その光景は、アメリカの田舎を旅する映画のワンシーンのようだ。 そしてこれは、この周辺が映画俳優の鼻のかたちであることとシンクロする。
何もないところに何もなさを確かめに来る場合に必要なのが心の目だと思う。 「あー!何もない!」と感動できるのは長くて数分で、それ以降は、何もないのだから何もない。 そんなとき、心の目を凝らして、見えないものを見る努力が必要なのではないだろうか。 何もない「そこ」からなにかをくみ取るのが、何もないことを確かめに来た者が背負うべき義務だと思うのだ。 そういう信念で、僕は今映画の話しをしたのだ。 決して断じて、原稿のページを埋めるためではない。