かねてより興味のあった隠れ里に行ってきた。文字通り外界との交流少なく古来よりひっそり暮らしてきた里のことだ。
のどかな里にほうほうと恍惚のため息を漏らしてきたものの今となって後悔が芽生えてきた。
記事を読むのが昼休みのサラリーマンならまだしもOLが隠れ里を見てほーうとあごひげに手をやるのか…う〜ん、第一あごひげがない。
あごひげ生やそう。それか借りよう。今日ばかりは部長のあごひげをなでながら隠れ里を見ていこう。
(大北 栄人)
トンネル抜ければ体験
千と千尋の神隠しだという
秋田縦貫鉄道の笑内駅近くにこの根子という集落がある。秋田に旅行に行ったとき、ここを紹介する役場のパンフレットを発見した。
あ、これ近いのか。隠れ里行きたいけど、記事にするには地味なんだよなー、と悩んでいたところ、役場に勤めるという知人から「いいよ〜、根子。トンネル抜ける千と千尋の世界。」と推してもらった。
それはいい。『千と千尋の神隠し』が実際にあった!という話ならキャッチーだ。マタギの里だとかここから旅マタギが派遣されてったのだとかは黙っておこう、と思って行ってきた。
顔ハメを抜けると隠れ里であった
ハロー、根子。これが知人が言ってた「千と千尋の神隠し」「伊豆の踊子」体験だった。トンネルの圧迫感と抜けた時の開放感がすごい!
そこに四方を山に囲まれたぽっこりお里。ちんまりとしたかわいらしい集落であるが、そのうえマタギの里なのだ。プハーッ!もういい!今日は今から一杯やっとくんな!
まだある。マタギの里であるがうえに、なんとここは源氏と平氏が落ち延びた里なのであってさあやめだ!仕事は終わりにして家で晩酌しながらこの隠れ里をもう少し見て行こう。
昭和50年にこのトンネルができるまでは…
隠れ里だ、千と千尋だ、といわれるのはこのトンネルのおかげではないだろうか。集落の規模からすれば重厚で立派なトンネルである。
狭さか質感のせいか反響音が半端ない。アッと声を出すと何重にも響いて怖いくらいだ。こんなのだ↓
うはー、おもしろー、と入口で遊んでいると、奥の暗闇からなにやらゴラゴゴゴと重戦車の音が聞こえてきた。戦争だ。戦争が始まったのだ。