もう4年前だが、日本の街には歯医者キャラがあふれていることに気がついて書いたのが「歯医者キャラ」を鑑賞するという記事だ。
その後、2年前に歯医者キャラにあらたな発見があったので、歯医者キャラふたたびという記事も書いた。
そして今回。さらに混沌としてきた歯医者キャラ界の実情をレポートしたい。歯医者キャラはどこへ行くのか?
(大山 顕)
あいかわらず歯の無限後退現象
前回の歯医者キャラふたたびでは、「歯が歯を磨く」という現象についてふれた。歯に歯があるとしたら、その歯の中の歯にも歯があるのか?さらにその歯の中の歯の中の歯の中の歯は?
上の一文打っていて早くも「歯」の文字がゲシュタルト崩壊をおこし気味だが、つまり「歯医者だからそのキャラは歯でいいだろう」「ついでに歯磨かせちゃえ」という安易な状況設定は、どこまでも歯が続く歯の無限後退という事態を引き起こすのだ、という警告である。うそ。警告ではないけど。
しかし、そんなぼくの警告をよそに世の中に歯の無限後退現象があとをたたない。左もそのひとつ。満面の笑みで歯が歯ブラシを掲げている。左手のチューブの無造作な扱いも気になるが、やはりそのにっこりと笑った口の中はいったい、というのが一番の問題だ。
上右のキャラは、はっきりと歯の中の歯を描いた珍しい作品。ついに業界のタブーを堂々と。あまつさえサムアップである。
あいかわらずの、カバ
さて「歯 in 歯」問題からはなれて、その後生息が確認された、定番のアニマル系歯医者キャラをご覧いただこう。
まずはカバだ。前々回かわいらしいカバ歯医者キャラをみつけてうれしかった。個人的には、カバの歯医者キャラはけっこう好きだ。あまりいないけど。歯の象徴として絶妙だと思う。
そんな好意を寄せるカバさんだが、今回発見した上右のものを見て、少し不安になった。カバは実は歯医者キャラには向いていないのではないか。だって、すきっ歯に見えるんだもの。
ピカピカになってすごくうれしそうだが、ぱっと見は「あと4本しか残っていません」に見える。
というか、ずっと見てたらこれは本当カバなのかどうなのか自信がなくなってきた。
齧歯類も健在
定番アニマル系歯医者キャラとしてリスも欠かせない。そのかわいらしさでもって、歯医者への恐怖心をやんわりさせようという作戦なのだろうと思う。
爽やかへの挑戦・マリン系
マリン系もいたるところで目撃される。イルカを中心としたマリン系歯医者キャラは根強い人気を誇る。おそらく「歯医者=こわい」というイメージを、リスなどの「かわいらしい」方向ではなく「さわやか」というコンセプトで払拭していこうという戦略なのだと思う。
結果的にもはや歯とは関係のないキャラになる。しかし、考えてみればキャラクターとはそういうものだ。ベストジーニスト賞をうけるタレントがほんとにジーンズ好きかとか似合うかとかはどうでもいいのだ。イメージ戦略とはそういうものだ。というか、ベストジーニストに喩えるのがおかしい。