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フェティッシュの火曜日
 
街の手触りを調査する

横断報道に見る、都市部の心の闇

横断歩道も触ってみると意外かもしれない。


ぜんぜん車の来ない道路を選びました

1ページ目の標識の塗料の違いくらいでデコボコを感じるのだから、横断歩道とアスファルトなんかは相当に手触りが違うのではないか。胸が高まる。こんなに横断歩道にドキドキしたのは初めてだ。こんなぼくに選ばれる横断歩道にも、ぜひドキドキして欲しい所存である。

車のほとんど通らないところにある横断歩道を選ぶ。ふだんなら「車の通らないところにある横断歩道なんて無駄だよなー」って思うけれど、こうしてあちこち触って行くとわかるのだ。安全に触れるように、車の来ないところにも作っているということが。ならば触らねばなるまい。


コンタクトを探している人みたいだ
デコボコの違い、目で見てもわかりますよね?

感触は予想通りのものだった。アスファルトはデコボコしていて、だいぶ荒々しい。大根とかショウガがすりおろせそうな手触りだ。横断歩道部分はその上から塗ってあるので、ややフラット。たとえば、道で転ぶようなことがあったら、横断歩道上に膝や手をついたほうが、擦りむけ具合が軽く済むと思う。交通安全だけでなく、転んだ時の安全性まで高めているとは、横断歩道、なかなかニクいやつだ。仕事ができる上に、女性や子どもにもやさしい、できる男みたいだ。

そして、意外な部分もあった。ほんの少し、温度が違うのだ。
横断歩道の白い部分の方が、温度が気持ち低い。この白い色のせいなのだろうか?
できる男の温度は、ほんの周囲より少し冷めていた。なにやら横断歩道の心の闇を垣間見てしまったような気がする。街の心象風景は複雑だ。


横断歩道的な人とお酒を飲んだ時の思いでです

ツバメの巣だと思えばありがたい、信号機

信号機も意外だった。
信号を近くで見ると、ポツポツのようなものがある。
これが、見るからにデコボコして楽しそうだと思ったのだけれど…。


まあ、どこにでもある信号機です
邪魔にならないように、控えめに

触って驚いた。ツルッツルだ。
たんなる硬いプラスチック。味も素っ気もない。どうやら、あのポツポツの上をカバーしているみたいだ。
正直がっかりしたことは否めないが、これはこれで通好みの手触りと言えよう(そういうことにしてしまいましょう)。
ほら、高級食材のツバメの巣にも、味は特にないって言うではないか。そう考えれば、信号機の手触りは高級なのだ。ちょっと高いところにあるところも似ているし。

 

傘を使って、ダイナミックな触感を

さて、ここまで専ら「手で触る」ことにこだわってきた。
たしかに繊細な感触を確かめるのは手が最適だろうと思う。しかし、街触り(もう、こういう名詞を作ってもいいですよね?)の楽しみは道具を使うことにより、より広がりを見せることに気づいたんです。使う道具は、ビニール傘だ。


この季節、急な雨に備えているフリをして持ち歩くといいだろう。むろん本来の目的は街触りだ

さて、傘の使用方法だが、まず第一に単純に傘を伝わる感触を楽しめる、というのがある。
さっきの横断歩道の感触くらいだったら、傘を通してもわかるのだ。


いちいち、屈んだりしなくてもいい。これなら、すぐにでも始められますね。

どうです?便利でしょう。こうすれば、街触りもすぐにでもできるので、すぐにやってみて下さい。
今日できることを明日に伸ばさないのが、成功者への近道なのです(ちょっと前に読んだ自己啓発書にこういうことが書いてあったんです)。

傘は、街触りを簡単な方法で行えるようになるだけではない。こんな変則的な触り方もできる。


電柱の穴に、

傘の先っぽがぴったり入った!まるであつらえてあるかのようなフィット感

いや、だからなんだ、と言われるとやっぱり正直つらいのだけれど、こんなことでも実際やってみると楽しい。反論はやってみた人のみから受け付けます。
街の規格と、ぼくの持ち物の規格がぴったりあっているなんて、ちょっとした奇跡だとぼくは思う。世界のカギは、ここにあったか!と高らかに叫びたくなるではないか(自分でもよくわからないけれど、ファンタジーっぽい設定を想定しています)。

繊細な手触りを楽しむだけではなくて、道具を使うことにより、こうしたダイナミックなこともできる。
まだまだ街触りは奥が深い。

街触りのポイントは以下の通りだ。

  • とりあえず目につくものの感触を確かめるのが楽しい
  • 感触が意外だったりすると楽しい
  • ぼくは繊細なデコボコが好きだ
  • でも大胆なデコボコも捨てがたい
  • みんなもやってみよう

あと、定番だけれどこんなのも楽しい。最新ゲーム機もびっくり、音と振動の連動。


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