感触は予想通りのものだった。アスファルトはデコボコしていて、だいぶ荒々しい。大根とかショウガがすりおろせそうな手触りだ。横断歩道部分はその上から塗ってあるので、ややフラット。たとえば、道で転ぶようなことがあったら、横断歩道上に膝や手をついたほうが、擦りむけ具合が軽く済むと思う。交通安全だけでなく、転んだ時の安全性まで高めているとは、横断歩道、なかなかニクいやつだ。仕事ができる上に、女性や子どもにもやさしい、できる男みたいだ。
そして、意外な部分もあった。ほんの少し、温度が違うのだ。
横断歩道の白い部分の方が、温度が気持ち低い。この白い色のせいなのだろうか?
できる男の温度は、ほんの周囲より少し冷めていた。なにやら横断歩道の心の闇を垣間見てしまったような気がする。街の心象風景は複雑だ。 |