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ひらめきの月曜日
 
ネジのかっこよさにしびれる

なるほど感あふれるネジ製作工程


光の当たり方によって表情を変えるネジたち

このような町工場では、どのような段階の材料からネジを作るのだろうか。大きな金属塊から?それとも熱されてドロドロに溶けた状態から?


社長「どうやって造るか、わかります?」

工場に来る前には、自分なりにそんな風に考えてはみたものの、どちらの考えも今ひとつしっくり来なかった。 そんな作り方だと、ずいぶん大げさな設備が必要になるんじゃないだろうか。

答えはこれだ。


ああー、そういうことかあ

細長く引き延ばされた材料の金属。つまりは針金だ。

目にしてみると「そうか!」と思ったが、それまで自分は思い浮かべられなかった。なるほど、と思わされる。

ではこの針金がネジになっていくまでを詳しく見てみよう。 ネジは2つの機械で加工されて完成するが、まずはネジ頭を作る「圧造機」の工程だ。


1.まず、針金がこのように送り出し…
2.先っちょをハンマー状のもので叩く

3.そしてもう一発、このような部品で叩く
左から、針金・一発叩き・二発叩き

…と、ここまでが「圧造機」での工程だ。ただの針金がすっかりネジらしくなったが、まだ軸の部分の溝がない。溝入れは次の「転造機」で行われる工程だ。


こちらが転造機
この金属塊が重要な役目を果たす

この転造機でポイントになるのが、右の写真のブロック状の金属だ。写真でははっきり確認できないのだが、このブロックにはとても細い溝が何本も入っている。溝の面を向き合わせた2つのブロックの間に圧造機でできたネジを挟み、圧力をかけながら間を転がすのだ。

社長「だから、最初の針金と同じ質量分のネジができるんですよ」

圧力をかけられて、溝の山と谷ができる。そうか、溝というとなんとなく切削して作るイメージがあったが、小さなネジを扱うこの工場での製法はそうではないのだ。カスも出ないのである。(※切削して作るネジの工法もあります)


作り方がわかるとネジも違って見えてくる

作り方はわかった。針金を叩いて、溝で挟む。そしてこんなにきれいなネジができるのだ。作り方がわかって、またひとつネジへの愛着が湧いてきた。こうしてキラキラ輝くネジは、ちょっとした宝石のようでもないか。

さてではこのネジ、いくらくらいするものだろうか。浅井製作所のサイトには、気になる記述があった。


ずいぶん安くないか?(浅井製作所のサイトより)

200本で4円。子供のこづかいでも何万本も買えてしまうんではないか。

追記:筆者の勘違いで、「200本を4円で小売り」だと考えて書いてしまいました。正し くは、「200本買うと、ネジ1本当たり4円で小売り」という意味です。200本を4円で買えると思った方が浅井製作所さんに殺到すると大変なことになっ てしまいます。お詫びして訂正いたします。

まあ冷静に考えれば一般人がそんなにネジを買っても仕方がないのだが、かわいいネジがこうした値段で売られているのは気になる。疑問を解くべく、倉庫の方におじゃましよう。


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