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ひらめきの月曜日
 
ネジのかっこよさにしびれる
 


あまりにも身近過ぎて見落とされがちだと思うが、ネジというのは相当にかっこいいものだと思う。

改めて気がついたのは、中学の技術の授業だっただろうか。ググッと回転しながら物と物とをしっかり繋ぎとめる。ドライバーを通して伝わってくる確かな手応えも心地いい。その仕事ぶりがかっこいい。フォルムそのものもいい。いろんな角度から見ていると、気づかないうちに随分時間が経っていることがある。 とがってる、グルグル回る、ビシッと決める。かっこよさの集合体とも言えるネジについて、プロの方に話を伺ってきました。

小野法師丸

追記:筆者の認識の間違いで、初出では以下の記事に出てくるネジの価格について誤解が生じるおそれのある部分がありました。追記を補足しました。



そういえばネジってどうやって作るのか

ホームセンターに買い物に行くと、目的ではない物についつい見入ってしまうことがある。それは絶対使わないだろうと自分でも思う工具をなんとなく手にとったりすることがある。


魅惑のネジ通路

それらと同様に、地味ながらもつい立ち止まってしまうのが私の場合はネジ売場だ。

特に日曜大工が好きというわけではない。機械いじりが趣味というわけでもない。それでもネジ売場に心ひかれてしまうのは、その形自体が自分にとって魅力的なのだからだと思う。


「ユニクロ」というのはメッキの種類
「ねじ」という字面がもうかわいい

素材や細かい形状の違いでバリエーションが驚くほどあるのもすごい。それぞれに目的が違うのだろう。街のホームセンターレベルでもこれだけの品揃えがあるということに、なんだか感心を覚える。

使うあてもないのにしばらくうろうろしてしまうネジ売場。世の中には他にどんなネジがあるのだろう。そういえば、そもそもネジってどうやって作るんだろう。


看板に歴史を感じます
社長の浅井英夫さん

ネジのことをもっと知りたい。そう思って今回訪れたのは、埼玉県草加市にある浅井製作所さんだ。迎えて下さったのは社長の浅井英夫さん。

ネジの生産能力は一日あたり40〜50万本という。あくまで素人の印象だが、結構な量だ。

しかし従業員は一名というこの浅井製作所。そう、つまり社長が唯一の社員なのだ。それゆえ、全てのネジを社長一人で作っているということになる。

意外な数字が並んだが、その工場はこんな雰囲気だ。


ここで一日50万本ものネジが生まれる

町工場という言葉がそのまま当てはまる佇まい。金属と油のにおいが入り混じる中、カッタカッタカッタ…と機械の動く音が響き続ける。


道具類の密度がたまらない
使い方のわからなさに惹かれる

どう使うのか見当もつかないものがゴロゴロと並ぶ工場内。素人にはさっぱりわからないことが、逆に魅力に感じられるから不思議だ。

そうした物たちに興奮を覚えながらも、なぜか気持ちの落ち着きも感じる。リズムを乱すことのない機械の音のためなのか、ちょうどよい暗さのためなのか。

そしてここから生み出されるものがこれだ。


これまで経験したことのなかった量と密度

大量のネジである。

機械から作り出されて、箱の中でひしめき合うネジたち。気がつくとじっと見ている。何の物語もない無機物なのに、一度見始めるとしばらく目を離せなくなってしまう。

さて、これらのネジはどうやって作られるのだろうか。材料が金属だということはわかるが、工場ではどういう状態から作り始められるのだろうか。

お読みの方は予想がつくだろうか。ではその製作過程を見てみよう。


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