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ちしきの金曜日
 
JR九州ゲキヤスの旅(後編)

感動の記録です。

土日の2日間、JR九州の特急・新幹線が乗り放題で1万円という切符、その名も「ゲキ★ヤス」。

先週に引き続き、後半2日目の旅の様子をお届けします。今回も前回同様、電車にはあまりいい思い出がないという編集部・安藤さんと対談しながら進めていきます。
(前編を読んでないかたはこちら

T・斎藤



1) 車窓をつまみにビール飲む
〜 鹿児島中央⇒吉松

2日目の旅は鹿児島中央駅から。

編集部・安藤(以下、あ): 前回の記事を後から読んで、あまりに僕の知識が無いことが申し訳なくなりまして、
T斎藤(以下、T): こちらこそ無理矢理自分の旅行話を聞かせる酔っ払いおやじみたいで…。
あ: この一週間でJR九州の列車についていろいろ勉強しました。
T: お、そうでしたか!ではさっそく…

2日目のルート説明


より大きな地図で表示

1日目は豊肥本線を走る「あそ1962」、久大本線を走る「ゆふいんの森」という2つの観光列車に乗り、最後は新幹線で鹿児島まで来た。2日目は肥薩線を走る観光列車「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」、そして4/25に登場したばかりの「SL人吉」に乗って熊本に向かい、最後は自宅の長崎まで行く。

2日目のルート
・鹿児島中央⇒吉松 〜はやとの風2号 (9:27⇒11:03)
・吉松⇒人吉 〜しんぺい2号 (11:42⇒12:56)
・人吉⇒熊本 〜SL人吉 (14:39⇒17:21)
・熊本⇒鳥栖 〜リレーつばめ54号 (17:28⇒18:29)
・鳥栖⇒長崎 〜かもめ43号 (18:45⇒20:25)


これには今回乗ってません。

T: 2日目の旅は鹿児島中央駅からスタートです。
あ: この緑の!と思ったら乗ってないんですね九州の電車は色がカラフルですね。
T: 古い車両にもとりあえずド派手なカラーリングが施されて見栄えがよくされてます。
あ: 九州の列車は個性的なのが多いんですか?
T: 地理的に不利な部分を車両の魅力を上げることで補おうという意気込みがありますね。
あ: 関西がお笑いに長けてるみたいな感じでしょうか。
T: 水戸岡鋭治さんという民間のデザイナーさんの力によるところが大きいです。
あ: 偉い人っぽい名前!
T: 実際、ものすごく偉大なかたですよ。尊敬してます。
あ: 僕の好きなリレーつばめもその方の作品ですか?
T: さっそく安藤さんの好きな車両に入れてもらえて嬉しいです。787系(リレーつばめ)はたしか水戸岡鋭治さんが初めて既存車両のリニューアルではなく、一から設計した特急車両です。
あ: ありがたみ5割り増しですね!ますます乗りたくなりました。
T: これから乗るのも水戸岡先生が手がけた列車ですよ。
観光列車 「はやとの風」 (1日2往復)

 

鹿児島中央⇒吉松 〜はやとの風2号 (9:27⇒11:03)

あ: この黒いびかびかしたのに乗ったんですか?
T: 観光列車 「はやとの風」です。

すんごいわくわくする車内
共用スペースがいっぱいある
展望席(誰でも座っていい)

あ: 車内が健康ランドみたいです。
T: 以前、木曜日担当ライターの萩原さんが「たのしい肥薩線」という記事でこの列車について書いてまして
あ: ありましたありました。
T: そちらがすごく丁寧かつわかりやすいので、手早く概要を知りたい方はそちらをまず読むのがオススメです。

あ: 萩原さんの記事では桜島がどっかんと見えていましたが
T: こんな感じですかね。

桜島。

あ: 見えなかったですか。
T: 我が目を疑いました。動画でも撮ったのでどうぞ。


ひどく興奮しながら桜島が見えない様子に釘づけ。

あ: でも動画だとうっすらと見える気がしましたよ!
T: 景色はこんな感じでしたが、窓の方を向いて座るってだけでとにかく興奮しっぱなしでした。このあとだんだん天気がよくなってきます。
あ: ビール飲んでる!

腹具合もよくなってビールがいけるようになった!

T: 前日の屈辱を朝っぱらから晴らしてやりました。
あ:電車でビール飲むとどうしてあんなにうまいんでしょうか。

T: うまいですよね。
あ: このビール「はやとの風」って書いてますね。
T: 地ビールだそうです。こういう細かいところまで凝ってるのが嬉しいです。

あ: 電車でビールと言えば、僕は以前水戸に住んでたことがありまして、上野までの特急が1時間15分くらいなんですが、その間で泥酔して意識を失ったことがあります。
T: それはすごい!
あ: もちろん切符もなくしました。
T: エクセレント!



T: 常磐線って夜になると酒の匂いがしたのを覚えてます。
あ: そういえば斎藤さんも出身つくばでしたもんね!
T: 途中で電源が直流/交流と切り替わって一瞬真っ暗になるのとか懐かしいです。
あ: そうそう、切り替えるんですよね。あれは知らないとパニックです。
T: 推理小説のトリックに使われそうな瞬間でした。

10:16 嘉例川駅


天井付近jまである展望窓。嘉例川駅に到着。

嘉例川駅。ここで7分の停車。
あ: 嘉例川駅、いい駅ですねー。
T: 肥薩線で一番(か2番くらいに)有名な駅です。みんなここで下車して、駅を見物したり記念撮影したりします。
肥薩線の魅力を凝縮したような一枚。

あ: こちらのおじいさんが106歳ということですか?
T:106歳はおじいさんじゃなくて駅舎の方だと思います。明治36年開業で、大隅横川駅とともに肥薩線で最も古い駅舎とのことです。

T: 嘉例川駅は今は無人駅ですが、名誉駅長としてこうして出迎えて雰囲気を上げてくれます。
あ: ファンサービスですね。

ホームからはやとの風の展望席を覗いたところ。とても列車の車内には見えない。

あ: それにしてもレストランみたいな列車です。
T: こんなにかっこいいのにプラレールにもNゲージにもなってないのが信じられません。

10:29 霧島温泉駅

霧島温泉駅にて再び停車。今度は4分。
ホームでお茶配ってる!
あ: お茶配ってるホームがマラソンの給水所みたいですよ。
T: 停車時間ってそんなに長くないので、みんなダッシュでお茶いただいてました。もちろん私も。
あ: 都心では考えられない歓迎ぶりですね。
行程がずっと一緒だということに気付いて声をかけた。ゲキヤス仲間。

あ:ゲキヤス仲間って誰ですか?
T: そうそう、彼。実は前日のあそ1962、いやその前のリレーつばめのDXグリーン席からずっと行程が一緒だったんですよ。この日も鹿児島中央駅から一緒で、「またいる!」と思ってついに声をかけてみました。すると彼も私と同じくゲキヤサーで。
あ: ゲキヤサー…。
T: さらに驚くべきことに、この後の行程もず〜っと一緒で、
なんと長崎駅でも会いました。
あ: もう他人とは思えないですね。
T: 一度飲みに行ってじっくり語り合いたいです。彼は長崎に6分間だけいて、すぐに折り返しの博多行きに乗って帰って行きました。小倉から来たそうです。
あ: 遠距離恋愛のカップルみたいな忙しさです。
T: 彼は遠恋に向いてますね。

10:40 大隈横川駅

ここも明治36年開業の古い駅。6分停車。
T: 大隈横川駅も古い駅舎で、戦時中の機銃掃射の跡があります。
戦時中の機銃掃射の跡
あ: 爆撃の跡が!
T: 機銃掃射です。爆撃だったら壊れてますって。
けっこう穴でかい。
あ: けっこうでかい穴ですね。
T: こんなでかいんだ・・・って思いました。
停車時間中に試食ができるって斬新!
あ: ここでもおばちゃん達が出迎えてくれています。
T: 乗客がすごい勢いで試食に群がってました。私もいただきました。自分が何を食べたかすらわからない状況でしたが、これがまたどういうわけか楽しかったですね。
あ: 「知らない人を出迎える」って記事が書けそうな気がしてきました。

超人気駅弁「かれい川」。(九州駅弁ランキング第一位)
あ: なんかすごそうな駅弁が出てきましたよ。
T: これはどうしても欲しくて、事前にみどりの窓口で駅弁引換券を買って手に入れたものです。ここでしか買えません。駅弁展とかに出品してるのも見たことありません。
あ: 事前に引換券を買っておかないとここでも買えないわけですか?
T: 私が乗ったのが昼どきにはまだ早い便だったので、普通には売ってませんでした。あとたしか予約制です。
自分の中ではもう“幻の駅弁”になっていた。「ついに!」って感じ。
T: こういう肉気が少ない弁当がランキング一位ってところが、なんだか嬉しいです。日本もまだまだ捨てたもんじゃないとか思いますよ。
あ: 僕もこういう肉の少ないのが最近好きなんですよ。草食系になりつつあるんでしょうか。
1号車と2号車で色合いを変えてある。
2号車の展望席。
ついつい同じような写真を何度も撮ってしまう。

 

11:03 終点:吉松駅

11:03 終点の吉松に到着。
T: 「はやとの風」はだいたいこんな感じでした。
あ: 人の名前みたいな駅名が多いですね。まさき、とか、つるまる、とか。
T: 吉松君。

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