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はっけんの水曜日
 
水族館"片隅ツアー"への招待

福袋と言われる人生

こんなにまったりとした進行でいいのか疑問に思いつつ、ついに4ページ目に来てしまった。


水面でシンメトリーだから余計ににぎやかな水槽に。

乙 ― ・・・派手な水槽だなあ。
早 ― 福袋みたいな水槽だ。
乙 ― あの、壁にくっついてる点々、何??

前出・高井さんによれば、貝の卵だそうである!

乙 ― ああいう家庭用品ありますよね。壁にくっつけて、石鹸とかスポンジとかペタッとつけておける吸盤みたいなの。


ひときわ にぎわってるヤツが。

早 ― あの貝すごい、いろいろ出しちゃってる。しかもイソギンチャク乗っけて!
乙 ― 持ち過ぎ人生!
早 ― しかもそれがまた水面に映っちゃって・・・
乙 ― バイオハザードとかの敵で、もとのサイズ・要量より明らかにでかくなるヤツがいたりしますが、それみたいな貝。
早 ― 貝の殻って、防備のためにあるわけですよ。なのに無意味じゃないですか、やわらかいところあんなに出しちゃって。
早 ― で、あんだけ無防備にしてても、背中のイソギンチャクは防衛のためでしょう。どうもならん。
乙 ― あんなちっちゃいの、守備範囲外ですよね。

 

インテリア、そして彫像


左にツボ、右にクッション。フランフランか。
何かしらドラマを感じずにはいられないが、たぶん何も考えていない。

早 ― ヒトデがメタボですね。
早 ― ホヤ・・・こいつ吸って吐いてるだけですからね。

乙 ― 生き物でいなくていいじゃん!と思ってしまいます。
早 ― 幼生のときはかわいいのにね。
乙 ― 大人ってつまんないですね。
早 ― ヤですよこんな大人!
乙 ― こんな未来が待ってるとは。

乙 ― こちら、すごい顔の奴らが群像になってます。「ラオコーン」みたい。
早 ― こう見えてもやっぱり互いに無関心なんでしょうな。

 

グソクムシとの初めての対面、そして舞台裏へお邪魔

以前、個人的に「ダイオウグソクムシ」が気になり、思わずぬいぐるみも作ってしまった私だ。
えのすいでグソクムシに会えるのを非常に楽しみにしてたので、普通にちょろっと紹介させてください。


うーん、なででみたい。
ふつうのグソクムシは数で勝負。

群がってるグソクムシ、車を輸出する港みたいにきれいに並べてみたい。

さてそんなことをわーわー言い合っていると、広報・高井さんが合流してきた。ここはせっかくなので、隅っこでなく大水槽について取材してみよう。


少しだけ斜めに立て、広さを感じさせているそうだ。

高井さん(以下「高」) ― この水槽、アクリルパネルでできてるんですけど、厚さ41cmあるんです。
乙 ― 41cm!
高 ― それでも昔の技術ではこの水槽は無理でした。昔ならこの大きさのアクリルパネルはないですね。3mごとに柱を立てなければならなかった。それでもこのパネルも、1枚ではなく2枚をアクリル用の接着剤でつけてあります。
早 ― 気泡一つ入ってないですね。
高 ― どうやって接着するかは企業秘密だそうですよ。

乙 ― それにしても、こんなに多くの種類の魚を入れてて、よく食い合いませんね。
高 ― 例えばイワシは、常時8000匹入ってます。相模湾はイワシの漁場だから、なんとか展示したかった。それには、「じゃあ他のギンガメアジは2〜3匹入れて」「サメは何匹で」と水槽の大きさに対してのバランスを考えないと、この人たちエサになっちゃう。
どういうふうに互いに作用するかで、魚の動き方も変わります。例えばシノノメサカタザメ、他の水族館ではおとなしくなっちゃってるのを見たこともあります。けどここではこんなに動くとは思わなかった。


これがその、シノノメサカタザメ。元気だ。

そしてめったに見られない、水族館のバックヤードを見せていただく。


大水槽の水をろ過する装置。モンスターズインクにこういうキャラいたようないなかったような。

クラゲ生産室!クラゲ室長とか、いるのかな。
クラゲの幼生は気泡がその傘を突き抜けちゃうほど繊細だから細心の注意が必要だ。

華やかな水族館、その舞台裏は地道な努力がいっぱいだった。技術の進歩で年々魅力的になっていく水族館だが、陰では人間の絶えざるケアが不可欠なんだなあと今さらながら感じた。

そして最後の最後、大サービスが待っていたのだ!

「みなさん、ガラ・ルファ(通称:ドクターフィッシュ)は経験あります?」

ない、と答えると、さらにまた奥の部屋へと案内された。

な、なんと、と、と、特別に、あの魚のタッチング体験を、2人だけで占有できるのだ!今思い出しても意識が遠のく。あの、つんつんされる感触・・・ちゅーちゅー吸われる角質・・・。


気づけば「かーわーいーいー!!キー!」と繰り返し絶叫しながらもだえていた。お恥ずかしい。
普通はこんなには大きいサイズではないとのことで、夢のような体験でした・・・。

あとでわかったが、早川氏のほうが食いつきがよかった。角質たっぷりだったのか?
早川氏からは、グワシをいただきましたー。

ちなみに「ドクターフィッシュ」という名称は他で商標登録済だそうで、えのすいでは学名通り「ガラ・ルファ」と呼んでいる。

なんだか今日は、あんなに斜めな水族館観覧をさせてもらった上、最後にこんなおもてなしを受け、大変恐縮なのであった。

イルカやペンギンに誘惑されずひたすら水槽の隅っこのみを見て回るという試み、個人的にはたいへん面白かった。きっと、王道の主役展示たちには批判や皮肉、ツッコミを入れるスキがあまりない一方、隅っこにいる生き物たちは隅っこなりのペーソスを持ってて、それにぐっと惹かれるんだと思う。隅っこ認定された生き物にははた迷惑な話だが。それと自分達だけ盛り上がってたらごめんなさい。

終始、魚のことを「この人」と呼んでた、えのすい広報の高井さん、ありがとうございました。そんな生き物愛あふれる えのすいでは、数々のイベントや展示が目白押しすぎて、ここでは書き切れない。その中でも、上記「ガラ・ルファ」の期間限定の体験企画を記しておこう。ぜひ行ってキーキー言おうぜ!

タッチングプール 期間限定「ガラ・ルファ」タッチング体験
5月9日〜9月30日

サイト全体の入り口はこちら
他にも個人的には「ウミガメのおやつたいむ」に行きたし!

そして早川いくを氏の近著・近イベントはこちら。

・生き物とはうってかわって昭和20年代の珍事件をDJし切ってらっしゃいます。
取るに足らない事件」「続・取るに足らない事件」(バジリコ・刊)

・そして東京カルチャーカルチャーに今月登場!
へんナイト2」 (6月21日)
『キモい生き物とは何か?』というお題でスライドショーをやるそうです。これは行かねばなるまい。


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