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ひらめきの月曜日
 
かにぱんアレンジコレクション

かにぱんを通してたどり着く自由世界

人それぞれのかにぱんアレンジ。お願いしたのは知人のNさん家族だ。

ご夫婦と小学3年生のお嬢さんの3人家族。実は3人とも、売っているのを見かけたことはあるものの、「かにぱん」を食べたり触れたりしたことはないとのこと。


かにぱんと真剣に向き合うNさん
娘さんは手に取るなりモグモグ

「これがかにぱんねぇ…」と、パンと対峙するNさん。対してお子さんは、ちぎってパクパクと食べ始めた。おお、そうだ、かにぱんはまず、パンなのだ。そのリアクションは正しい。

気に入ってくれたようで、結構な量を食べている。さすがにメーカーが「子供たちの大好きな味」というだけある。

そんな様子を横目にかにぱんをいじるNさん。しばらくして、最初の作品ができたようだ。


門ぱん

いきなりカニの甲羅の模様部分をぶちぬいた。「門ぱん」である。

そこをちぎる発想はなかった。というか、そこってちぎれるものなんですね。メーカー提案の作品でもその部分をいじっているものはない。

間に入れた指は、そこを行き交う人を表しているとのこと。そういえば羅生門ってこんな感じだったかもしれない、などと適当なことも思いついてくる。


人間の精神はどこまでも自由だ
ぶらーん

と、Nさんは門のところにコーヒーについてきたマドラーを入れて持ち上げた。そしてマドラーを左右にゆすって門ぱんをブラブラさせはじめた。

これはどうしたことか。言葉を継げずにいると、「小学生ってこんな感じよねー。意外と楽しいわー」と発するNさん。

そう、もうそこに意味や造形的な意匠はないのだ。ただ、かにぱんをブラブラさせると楽しい。そこには無限の自由がある。


とうろうぱん

そうかと思うと、続いて作ったのは「灯籠ぱん」だ。大人ならではの和風モチーフ。出来ばえにも誰もが納得できる説得力がある。下部でパンが斜めに支え合っているのも新しい。

自由なだけではない、確かな造形力。これが大人の度量だ。


横たわる裸婦ぱん
横たわる裸婦ぱん(B)

対して、ご主人が作ったのは「横たわる裸婦ぱん」。美術史の本に出てくるような西洋絵画をイメージした作品。さすがに大人だ、「裸婦」は小学生には無理だろう。

一つ目の裸婦では満足できなかったようで、パンを加えてできあがったのが「裸婦(B)」。手前の部分は脚を組んでいる様子を表現したもの。そう言われるとなまめかしさが増したようだ。抽象的な表現からして、近代以降の作品だと言える。


何かが生まれる前の混沌
おはなぱん

そういうわけで大人もかなり自由なのだが、子供の場合はどうだろうか。ひとしきりパンを食べて満足したのか、いよいよ娘さんも造形すべくパンと向き合いはじめた。

しばらくしてできあがったのが、「おはなぱん」。かわいい。

素朴で味があるではないか。誰にもお花に見えるというやさしさも素晴らしい。そうだよ、子供の素直さってこういうもんだよ。


東京タワーぱん
モチーフ失念

続いて作ってくれたのは「東京タワーぱん」。ここで造形としてのディティールを問うのは野暮というものだろう。パンをできるだけ高く立てるようにすれば、もう心の中に東京タワーは建っているのだ。

わかるよ、その感じ。久しぶりに思い出したよ。そういえば子供の頃って、こういう考え方をして楽しんでいたなあ。

でもごめん、右側のは何を作ったのか忘れてしまった。何かしら題名があったはずなのだが。おじさん一生懸命考えたんだけど、どうしても思い出せないんだ。ごめん。


バーベキューぱん

そして最後にたどり着いたのは、「バーベキューぱん」。コーヒーのマドラーにパンを次々と突き刺し、バーベキュースタイルでかにぱんを食べようという提案だ。

肉肉野菜、肉野菜肉。いったんバーベキューだと思ってしまえば、ひとつひとつのパンもそう見えてくる。自由は無限なのだ。

Nさん作「むしぱん」

「かにぱんを楽しみながら食べよう」というメーカーの呼びかけを実践してみた今回の試み。かにぱんと向き合うことで、自分の想像力を見つめることにつながった。意外だ。

他の人たちの自由さも楽しい。一種の心理テスト的な意味合いすらありそうなところに、かにぱんの深さを感じました。


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